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12月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 15 夫婦と姓 庄司vs.論説委員 後編

専業主夫になったら
芸人の庄司智春はしばらく前、こんな見出しでネットニュースに採りあげられた。

庄司、専業主夫宣言 ミキティ「働こうよ」

あるイベントで「奥さんが稼いでるから、専業主夫になろうかな」と冗談を飛ばした。
すると、同じ日の別のイベントで妻がこの発言について聞かれ、「私が専業主婦になりたい、働いてよ」と答えたのだ。 shosetsu15-3_01.jpg この出来事の後、ちょっと真面目に考えた。
芸人としてまだまだ大きくなりたい。彼女に楽もさせてあげたい。
だけど、奥さんがいっぱい働いて、自分が家の面倒をみるのが、家族にとって最善のことだとしたら、そういう選択だってありうるんだよな。

でも、そう考えたことはなかった。
「庄司、落ちぶれたな」と言われたくない。
そんなプライドが邪魔をしているんだと思う。

おやじは古いのか
庄司家のような若い世代を中心に、男女の家庭での役割は多様化している。
年配の世代との価値観の違いがくっきり出るようになってきた。

「選択的夫婦別姓でも、年配になると反対する人が多くなります」
論説委員の谷津憲郎は、朝日新聞社の世論調査をもとに説明する。

昨年11月の調査では、20~50代では賛成が6割前後いるが、60代は47%。
70歳以上になると34%で、反対が48%で上回る。

shosetsu15-3_02.jpg

庄司も、身近で思い当たる節がある。父親だ。
庄司の妻に対して「庄司家に入ったんだから」というような態度が表に出てしまうことがある。
古いな、って思ってしまうんだけど。

1人目の子どもの性別がまだ分からなかった時も、「男が生まれたらいいな」という感じだった。

shosetsu15-3_03.jpg

結果的にそうなったけれど、奥さんは大変だったかも。

結婚したら、義理の親から「ようこそ我が家へ」とちょっと上から目線で言われ、男を産めみたいなプレッシャーもある。
女性は相当しんどいんだろうな。

「お父さんには庄司という名字を継いで欲しいという気持ちがあるんじゃないですか。庄司さん自身にそういう思いはありますか」と谷津は尋ねる。

なくなってしまうのは、やっぱり寂しいなあ。

「一人っ子の女性だったら、ほとんどが名字が途切れてしまうことになっていますよね」と谷津。
やっぱり、男の勝手なんだよ。

もしも孫が・・・
でも、もし選択的夫婦別姓が認められて、夫婦別々の名字になったら子どもはどうなるんだろう。

「結婚前にどちらの名字にするか決めておく。子どもによって違うと混乱しますから。1996年に法務省の審議会が選択的夫婦別姓を検討したときの案はそうなってます」と谷津。

うん?ということは、息子が結婚して、孫が生まれたとしよう。
そのかわいい孫が、庄司でない可能性があるということか。

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息子が結婚の相談に来る。
「結婚したいんだけど、相手が出した条件は、夫婦別姓、それと子どもは相手の名字にすることなんだ」
うわあ、どうしよう。

「反対するんですか?おやじの子どもじゃないだろう、って言われますよ」と谷津は問い詰める。

うーん。「おまえが選んだ人なんだから、2人で相談して決めたなら、それでいいんじゃないか」。そう言えるおやじになりたい。
でも、いまの正直な気持ちでは、簡単にはそうは言えないなあ。

さっき、自分の父親を「古い」って言ったけれど、自分も垢(あか)がこびりついた、古い考えの人間なのかも知れない。

「名字って、理屈では割り切れないところがありますよね。だから、国としての結論がなかなか出ないのかもしれません」と谷津は応じる。

息子や娘が結婚するまで、あと20年はかかる。家族の形はもっともっと変わるだろう。
それに合わせて自分の考えも変わっていくんだろうか。

次回は「庄説」。25日ごろ配信します。

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論説委員プロフィール谷津憲郎(やつ・のりお)

 1994年に入社。東京社会部、那覇総局などを経て2015年秋から現職。20年間「おまえの意見なんてどうでもいい。事実をつかめ」と戒められてきたのに、いまや「で、主張すべき論は何?」と問われることに戸惑う44歳。社会部でも「何でも屋」としての遊軍が長く、専門分野を尋ねられるのが苦手です。ただし2回勤務した沖縄は関心事。沖縄国際大ヘリ墜落に走り、仲井真知事の埋め立て承認に嘆息しました。高校生の時、生まれた日には何があったのかと調べたら、翌日の朝刊1面は「沖縄、26年ぶり復帰確定/日米外相が協定に調印」の文字。ふぅ~んと無関心だったあの時の自分に将来を教えてやりたい。

もっと「夫婦と姓」を読む

  • (教えて!結婚と法律:1)同姓規定、背景に「家制度」(20151125)

     「結婚により夫婦は同じ姓になる」「女性は離婚後6カ月は再婚できない」。この二つの民法の規定が、憲法に違反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁大法廷が判決を言い渡します。「個人の尊重」や「男女平等」に反すると判断すれば、法改正に向けて動き出す契機になります。

  • (教えて!結婚と法律:5)夫婦別姓、各政党の立場は?(20151202)

     2014年9月29日、臨時国会の参院本会議。壇上の安倍晋三首相が所信表明演説で、女性が輝く社会の実現について「日本社会が本当に変わるのか」と力を込めたときだった。

  • どうして夫婦同姓なの 民法の規定、最高裁が初の憲法判断へ(20151102)

    結婚や家族のあり方に関わる大きな問題について、最高裁が近く初めて判断する。「女性の活躍推進」をうたう政府は、国際社会から改善を求められても夫婦別姓を認めない。歴史を振り返り、世論の動向や各国の仕組みを紹介する。

  • 「部屋とYシャツと私」と夫婦別姓 平松愛理さんは今(20151213)

     1992年の大ヒット曲「部屋とYシャツと私」を歌ったシンガー・ソングライターの平松愛理さん(51)はその後、結婚、出産、離婚を経験した。いま、夫婦別姓の問題をどう考えるのか。最高裁が16日に出す判決を前に聞いた。

  • 「結婚後の姓」、思い悩む若者 夫婦別姓訴訟、最高裁判決(20151217)

     結婚した男女は同じ姓にすることを定めた民法は、憲法に違反しないと、最高裁が判断した。夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着しており、合理性が認められるという理由だ。結婚とは、家族とは――。未婚の若い世代も、自分の問題として受けとめ、悩んでいる。

  • 夫婦の姓、どう向き合うべきか 4千近い意見から考える(20151217)

     結婚に伴って姓を変え、不便、不利益、アイデンティティーの喪失を感じる人は今後も絶えることはないでしょう。「夫婦は同姓」を合憲とした最高裁判決の先、私たちが考えなければならないのは何か。

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