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10月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 16 18歳から選挙にGO! 庄司vs.論説委員 後編

投票で変わるという実感
ちゃんとした教育を受けていたらなあ。

若いころはあまり選挙に行かなかった庄司智春。当時の政治意識の低さを、冗談めかして学校のせいにしてみた。

「でも庄司さん、学校でも選挙はありませんでしたか。児童会とか、生徒会とか」
対談相手である論説委員の氏岡真弓は質問を投げかけた。

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あれ、どうだったっけ。
クラスで学級委員を決める投票はした覚えはあるけど。
うーん、思い出せない。

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「生徒会長はいませんでした?」と重ねて聞かれ、庄司は記憶をたどる。

生徒会長はいた。でもどうやって決めてたんだ。
学級委員のようなクラス代表たちが選んでいたのかな。

覚えていないだけかもしれないけど、投票した記憶がない。
生徒会やりたいなんてヤツ、周りにもいなかったし。

「関心がなかったのは仕方ないかもしれません。生徒会活動で学校生活が変わるという実感が乏しかったからじゃないですか」と氏岡は慰める。

例えば校則を変えたいと公約を掲げて立候補し、当選したら実行する。
そんな実績があれば興味もわく。
生徒会が単なる先生の下請けで、ダメっていわれたらおしまいでは白けてしまう。

確かに新しい部活を作りたいと立候補した生徒がいて実現させたら、ほかの生徒もやってみようとなる。
自分はそんな意識なかった。

「いきなり18歳選挙権だ、さあみんな投票して、ではなく、長い助走路がいるんじゃないですか」と氏岡。

投票して身近なところから変えられる経験がないと、選挙に行っても意味がないって思ってしまう。

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きちんと意見の言えるひとに
「庄司さん、家庭の役割はどうでしょう。父親として、お子さんたちにはどうあって欲しいですか」と氏岡は質問する。

4歳と0歳の子どもがいる庄司。
きちんと意見の言えるひとになって欲しい。
そのために心がけていることがある。

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お菓子が欲しい、おもちゃが欲しい。
子どもがねだるとき、何で欲しいのかをしつこく尋ねるのだ。

「その程度の気持ちなんだ」「それじゃ買えないなあ」などと返して、遊び感覚で会話をふくらませていく。

このあいだ息子とヒーローショーに行った。
おもちゃを欲しがったけど、いまいち必死さが伝わらない。

うちはプレゼントは基本的に誕生日かクリスマス。
だから諭した。お手伝いしたり、幼稚園で頑張ったりすれば、おのずと君のもとに届くんだよ。
そうだ、おもちゃに向かって気持ちを伝えてみよう、って。
「必ず迎えに行くからね」。息子は素直に思いをぶつけていた。
その気持ちを忘れずにいよう、と言うと納得したみたいだった。

それは政治の第一歩
「それって、立派な政治教育ですよ」と氏岡。

え、そんな大したものか。庄司は戸惑う。

「他人とやりとりをして、自分の要求をきちんと伝えて実現させる。それは政治の第一歩じゃないですか」と氏岡は説明する。

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どこかに出かけた感想を聞くときも、「楽しかった」だけではすまさない。
何が楽しかったの、どう楽しかったの、イヤだったことはなかった、といろいろ質問を浴びせる。
一つのものごとでも様々な角度から考えてもらえるようになって欲しいからだ。

発想のもとは、グルメ番組でのコメントだ。
何人も感想を述べた後に、順番が回ってくると、ああ言うことがねえなあ、と苦しむ。日ごろから自分の気持ちを上手に表現できるようになりたい、って痛感する。

「自分がしたいこと、やりたいこと、黙っていたら何も伝わりません。まずはちゃんと話せることです」と氏岡は力を込める。

そうか、もう始まっているんだ。
こんなに小さいころから。親である自分もちゃんと勉強しないと。

氏岡もうなずく。「18歳選挙権は、大人が問われているんです。政治家は考えを届けられるのか、先生は教えられるのか。18歳・19歳に恥ずかしくない投票率になるのか、も」

ふんどしを締め直さないと。今年40歳になった庄司は、大人としての責任を痛感して対談を終えた。

次回は「庄説」。8日ごろに配信する予定です。

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論説委員プロフィール氏岡真弓(うじおか・まゆみ)

 1984年入社、水戸、横浜支局を経て社会部。1996年から教育分野の担当記者として取材を始めた。いじめや学級崩壊、不登校、学力低下問題などの記事を書き、編集委員、東京総局次長、教育エディター(部長)を経て再び編集委員、2014年から論説委員も兼務している。

 いつも思う。教育は○か×かでは割り切れない、と。答えが一つではない。支えるのもアリ、ビシッと叱るのもアリ、黙って見守るのもアリ。子どもの目で考えるか、親の立場か、それとも近所のおじさん、おばさんの視点か。答えは人と場面と時期によってさまざまに変わる。

 論説委員室でも教育のテーマになると、各委員が次々発言し、担当する委員として、いったい、どうまとめればいいのか?と迷うことが多い。悩みが多いだけに面白い。しかも、子どもや先生の取材を通して「生の人間」に出会えたとき、記者になってよかったな、と感じる。政治も、経済も、文化も、子どもが絡めばみんな教育の話になると思っている。

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