H2Aロケットの打ち上げが来年2月に再開される見通しになった。昨年11月の6号機打ち上げ失敗を教訓に設計変更した大型固体補助ロケット(SRB)の信頼性、安全性が燃焼試験で確認でき、技術的に再開のめどがついた。気象衛星「ひまわり5号」の後継機を搭載する見込みだ。相次ぐトラブルで停滞していた日本の宇宙開発が、再び動き出すことになる。
6号機の打ち上げ失敗は、SRBのノズル(噴射口)に穴が開き燃焼ガスが漏れたのが原因だった。宇宙航空研究開発機構は、ノズルが高温のガスにさらされても破損しないよう、壁を厚くしたり、形状に膨らみをもたせたり、設計を変更した。
宇宙機構は9月と11月に、新型のSRBで燃焼試験をした。ノズルに異常は生じず、燃焼圧力などのデータも予測の範囲内に収まって、設計変更が妥当と確認できた。ほかに改善が必要と指摘された点火装置や電気系統など約80項目の問題点もほぼ、対応を終えた。
宇宙機構は、燃焼試験の詳細な分析結果をまとめ、29日の宇宙開発委員会の専門委員会に報告する。12月中旬に念のため最後の燃焼試験をするが、2月打ち上げですでに文部科学省などと調整に入った。
次回の打ち上げでは、「ひまわり5号」後継機の、運輸多目的衛星(MTSAT)の搭載が最有力だが、模擬衛星を使った「試射」案も検討されている。
MTSATの場合は99年11月にH2ロケットによる打ち上げが失敗しており、作り直した衛星での再挑戦となる。昨年5月に「ひまわり5号」が寿命で運用停止してから米国の気象衛星に頼っており、国土交通省や気象庁などは早期に確実な打ち上げを要望している。
(11/20 08:31)
|