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はやぶさ、消滅の運命? 地球の大気圏に再突入の公算大

2007年03月19日17時15分

 小惑星イトカワへ一昨年に着陸後、さらに飛行を続ける宇宙航空研究開発機構の探査機「はやぶさ」は、近く長距離航行用エンジンの運転を本格的に始め、地球への帰途に就く。だが、地球到着時には当初の計画と異なり、機体を大気圏に再突入させる可能性が高まっていることがわかった。地上へカプセルを正確に落とすには、ぎりぎりまで地球に近づく必要があるからだ。

図はやぶさ、地球へ向けて出発へ

 宇宙機構によると、はやぶさは現在、イトカワとほぼ同じ軌道を飛んでおり、地球から約8000万キロ離れている。この時期に出発すれば、太陽の周りを回る地球とはやぶさが約3年後に同じ位置に来る。地球上空では、イトカワの試料が入った可能性のある直径40センチのカプセルを、オーストラリアの砂漠地帯へ向けて放出する予定だ。

 これまでの計画ではカプセル投下後、はやぶさの機体は太陽を回る「人工惑星」となるはずだった。状態がよければ、さらに別の天体を探査することも想定されていた。

 しかし、はやぶさは燃料漏れなどの故障が相次ぎ、微妙な姿勢制御が難しい。運用チームには「カプセルの落下位置の誤差が大きいと街に落ちる恐れが出てくる」という心配の声もある。そこで、カプセルを目標地点へ正確に落とすには、当初計画より地球に接近させる必要が出てきた。

 その場合、カプセル投下後にエンジンを噴射しても、はやぶさは地球の重力を振り切れない可能性が高い。宇宙機構の解析では、大気圏で燃え尽きるとみられている。

 はやぶさは、自らの機体と引き換えに、小惑星からの試料回収技術と、地球〜小惑星間の往復飛行の実証という目的の達成を目指すことになる。

 宇宙機構は今週にも、はやぶさのエンジンを連続して噴射し始める予定だ。推進力は小さく、現在の軌道から本格的に動き出すのは、4月上旬になりそうだという。

 プロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授は「惑星間飛行は、日本が世界で初めて挑戦すること。可能性がある限り、はやぶさの飛行を全力で続ける努力をしたい」としている。

     ◇

 〈小惑星探査機「はやぶさ」〉 03年5月に打ち上げられ、05年11月に地球から約3億キロ離れた宇宙空間で、小惑星イトカワへ着陸して表面試料の採取に挑んだ。機体の大きさは1〜2メートル四方で、太陽電池パネルを広げた横幅は5.7メートル。着陸後に燃料漏れに見舞われた影響で通信が一時途絶、地球へ向けて出発するのが遅れた。現在は10年6月ごろの地球帰還を目指している。

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