現在位置:asahi.com>ニュース特集>宇宙探査>月探査機「かぐや」> 記事 社の威信かけて38万キロ 月へ〜「かぐや」探査計画・12007年08月21日13時54分 8月16日午前9時30分48秒(編集部注:この日程は、打ち上げ延期が決まる前の新聞掲載時のものです)。鹿児島県・種子島から日本の主力ロケットH2Aが打ち上げられる。載せるのは月を目指す探査機「かぐや」だ。
三菱重工業・名古屋航空宇宙システム製作所(名航)技師長の前村孝志さん(56)は、携帯電話に着信があるたびに、「ドキリ」とする日々を過ごしている。 今回打ち上げられるH2Aは、名航の工場からすでに種子島に運ばれ、組み立てられている。着信音は、現地の担当者からのトラブル報告かもしれないのだ。 前村さんは今回の打ち上げで、ゴーサインを出す執行責任者。33年間のエンジニア人生を、ロケット一筋でやってきた。何度も経験した打ち上げだが、今回は特別だ。 H2Aがこれまで宇宙へ運んだ人工衛星の軌道は、高度3万6千キロにとどまっている。だが「かぐや」は月までの38万キロを旅する。 かぐやの限られた量の燃料で観測を1年間続けるには、最適の経路で効率良く運ばなければならないし、月と地球の位置関係も刻々と変わる。打ち上げ可能な時間の幅は狭く、1秒もない。 悪天候などで打ち上げが延びると、第2段エンジンの1回目の燃焼を止めてから再燃焼させるまでの時間も変わる。通常は1種類で済むロケットを制御するソフトウエアも、今回は20種類も用意した。 前村さんが特別な重圧を感じるのは技術的な面だけではない。 今回は、国際競争に必要なコスト削減を目指し、「民営化」された初の打ち上げ。ロケット本体には社章の「スリーダイヤ」が入り、前村さんは来月初め、社長への2度目の説明に臨む。世間の注目度は高く、社としての威信もかかっているのだ。「技術的には難しいことではないが、精神的な圧迫感があるのは事実」という。 「打ち上げを担うのは私たちの念願だった。今回は日本の宇宙開発史の大きな転換点。何が何でも成功させないといけない」 ◇ 「米国のアポロ計画以来」と言われる月探査に挑む日本の「かぐや」。8月の打ち上げを前に、関係者の表情を追った。 PR情報この記事の関連情報月探査機「かぐや」
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