現在位置:asahi.com>ニュース特集>宇宙探査>有人宇宙施設「きぼう」> 記事

曲線・立体的な形に進化〜「きぼう」宇宙へ(7)

2008年02月15日17時24分

 どういう布団なら宇宙で快適に眠ることができるのか? そんな課題に世界のだれよりも真剣に取り組んでいるのは、老舗(しにせ)寝具メーカー・西川リビング(大阪市)の吉兼令晴(としはる)さん(53)だ。

写真

「宇宙布団」の試作品を持つ吉兼令晴(としはる)さん=大阪市の西川リビング本社で

 国際宇宙ステーション(ISS)やスペースシャトルの飛行士は、船内の壁に固定した寝袋で眠る。大柄な欧米人用なので、日本人が使うと首元などにすき間ができ、20〜24度に保たれた船内では肌寒く感じることさえあるという。

 吉兼さんらが「宇宙寝袋」づくりを始めたのは02年。ISSの居住空間デザインを研究していた京都市立芸術大学に頼まれ、掛け布団の技を応用して日本人に合うものを試作したのが始まりだ。

 開発を進めるうち、意外なことに気づいた。ISSの寝袋を手に取ると、分厚くごつごつしている。肌触りよりも、燃えにくさといった安全性が優先されていると感じた。「宇宙では眠りは二の次なのか」と吉兼さんは驚いた。

 チャーター機を弾道飛行させて短時間の無重量状態をつくり、自ら寝袋に入ってファスナーの開け閉めや、足元の広がりぐあいなどを何度も確かめた。

 最初の試作品から5年。長方形で平面的だったデザインは、曲線で立体的なものに進化している。日本人で初めてISSに長期滞在する若田光一さんに、ぜひ使ってほしいと意気込む。

 吉兼さんは中学生のころ、大阪万博で2時間も行列してアポロが持ち帰った月の石を見た。「まさか自分が寝具の会社に入って宇宙の仕事をするようになるとは」。将来、会社や病院での寝泊まり、災害時の避難所で、快適な眠りを提供できる寝袋の商品化につなげたいという夢もふくらむ。

PR情報

このページのトップに戻る