赤く大きな切り妻屋根の駅舎は3代目になる。終戦直前の空襲で焼失し、1948年に再建された。国鉄時代の資料によると、旧海軍航空隊の兵舎を移築、JR東日本で現存する木造駅舎では最大規模だという。 焦土…[続きを読む]
1933年、成田線は松岸駅まで全線開通し、総武本線と合流した。その時から、ここは利根川下流地域と太平洋側の九十九里地域の結節点だ。 「昔は貨物も多く、駅から渡船場まで、馬に荷車を引かせて運んでいた…[続きを読む]
午後4時。無人の椎柴駅舎に明かりがともる頃、30メートルほど離れた地酒バー「酒論(サロン)たかしま」で、店主の高嶋輝和(てるお)さん(59)が妻の初江さん(57)と開店準備にかかる。 隣で各地の銘…[続きを読む]
利根川と反対の方角に下総(しもうさ)豊里駅を出て1キロほど。住宅団地の一角、2万6千平方メートルの敷地に倉庫が並ぶ。1997年にできた新国立劇場(東京都渋谷区)の舞台美術センターだ。 オペラやバレ…[続きを読む]
ピシッ、パン。弦をはじいて放たれた矢が的を捉える音だけが響く。笹川駅から3、4分、住宅に囲まれた「土善(どぜん)弓道場」。三十数人の高校生が28メートル先、直径36センチの的を一心に狙う。 道場は…[続きを読む]
小見川(おみがわ)駅(千葉県香取市)のある利根川下流域は水郷と呼ばれる低湿地帯。駅近くの鶏肉専門店「須田本店」は、その名を取った「水郷どり」を扱う。 海藻など特別なえさを与え、平場で日数をかけて育…[続きを読む]
水郷駅に着く前、左手の車窓から「三越左千夫(さちお)資料室」の看板が見える。 地元出身の童謡詩人。戦後、「戦争で心痛めた少年少女のために」と雑誌「キツツキ」を東京で創刊。詩作のほか、子ども向けラジ…[続きを読む]
香取駅は地元の千葉県香取市の名前と同じなので、大きな駅を想像しがち。広さ30平方メートルの無人駅で、改札や券売機もない。しかし東国三社の一つ、香取神宮の最寄り駅だ。古い貨車を再利用していた駅舎は、8…[続きを読む]
千葉県香取市の佐原地区は江戸~昭和初期の商家が並ぶ国の重要伝統的建造物群保存地区。江戸後期の測量家伊能忠敬(いのうただたか)の旧宅や忠敬(ちゅうけい)橋という橋もある。佐原駅はその玄関口だ。 9月…[続きを読む]
大戸駅(千葉県香取市)は無人駅。ホームと跨線(こせん)橋だけで駅舎も無い。だが小さな駅の近くには、県内でここだけという「佐原太鼓」の店が2軒ある。 「こんな田舎でも、東京から邦楽の先生が来てくれる…[続きを読む]
下総神崎(しもうさこうざき)駅から南に4キロ、千葉県神崎町の毛成地区。ここの里山に9月、都会の人らが住民と交流する拠点が誕生した。 「ツバキハウス」。同地区出身の建築家で、東京都北区議の椿邦司さん…[続きを読む]
ポーーッ。秋晴れの下、蒸気機関車(SL)の汽笛が鳴り響く。 滑河(なめがわ)駅近くの観光施設「成田ゆめ牧場」。毎年春秋の計約10日間、客を乗せ、1周500メートルの線路を走る。途中に駅や機関庫、橋…[続きを読む]
上空を成田空港の離着陸機が飛ぶ久住(くずみ)駅。線路沿いの久住中学には当代歌舞伎界の宝物が飾られている。市川海老蔵さんの化粧「隈取(くまど)り」を絹布(けんぷ)に押しつけて残した押隈(おしぐま)。昨…[続きを読む]
♪うな うな うな うなりくん――。成田駅の1番線ホームでは、昨夏から列車が発車する時、こんな曲が流れる。 「うなりくん」は千葉県成田市の観光キャラクター。駅前から成田山新勝寺への表参道約800メ…[続きを読む]
ホームのそばで柿が色づく。下総松崎(しもうさまんざき)駅の周辺にはひなびた光景が広がる。 100年ほど前、この駅に青年教師が立った。青木健作。旧制成田中学校(現・成田高校)で1909(明治42)年…[続きを読む]
額に入ったセピア色の写真が、千葉県栄町役場にある書庫に大切に保存されている。 成田方面に向かって安食(あじき)駅の少し手前。利根川に注ぐ長門川橋梁(きょうりょう)の建設現場ではしごに上った人が誇ら…[続きを読む]
線路沿いのススキが波打つように揺れる。ゴトンゴトン。住宅街のそばをのんびりと車両が走り抜ける。成田方面に向かって小林駅を過ぎると、左への緩いカーブがしばらく続く。 「撮影スポットの一つです」。千葉…[続きを読む]
ガラス戸の前につるされたあさぎ色ののれんが、秋風にはためく。「元祖 木下(きおろし)名物 本炭火手焼せんべい」。作業場が香ばしいにおいに包まれる。 木下駅前にある「川村煎餅(せんべい)店」は創業8…[続きを読む]
新木(あらき)駅で自由通路と橋上駅舎の工事が進む。今月から本格的な鉄骨の組み立て作業に入っている。 駅近くの大格(おおかく)萋子(せいこ)さん(76)は買い物がてら立ち寄って工事の進み具合を見守る…[続きを読む]
湖北駅のホームにさび付いた鋼鉄製の棚が七つ残っている。縦30センチ、横3メートル。成田線経由で東京方面に行商に出た女性たちが、重い荷物を下ろした荷物台だ。 関東大震災を契機に、農家の女性たちがとれ…[続きを読む]
成田駅に向かう下り電車が東我孫子駅に到着すると、車内にアナウンスが流れた。「少々お待ち下さい。交換列車が到着した後発車します」。間もなく上り電車が姿を現し、二つのホームですれ違った。 我孫子―成田…[続きを読む]
朝7時45分。JR我孫子駅4番線。エメラルドグリーンの帯が鮮やかな10両の車体がホームに滑り込む。成田駅発の上り線が到着した。間もなく最後部に、松戸車両センター我孫子派出所から来た5両の空車が近づい…[続きを読む]
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