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情報の信憑性確認、厳選し公開〈米公電分析〉朝日新聞社

2011年5月4日13時47分

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 朝日新聞は在東京米大使館発など日本関連の外交公電をもとにした特集記事を掲載しました。

 公電は内部告発サイト「ウィキリークス」(WL)から入手しました。英ガーディアンや仏ルモンド、米ニューヨーク・タイムズなどは、WLから直接あるいは間接的に25万件の文書の提供を受けました。欧米主要紙誌の報道は世界で大きな反響を呼びましたが、7千件近くに及ぶ日本関連の公電の全容はわかりませんでした。私たちは今回入手した膨大な情報について、信憑(しんぴょう)性を確認したうえで、報道に公益性があるかどうかを基準にし、それらの価値を判断しました。

 私たちは報道内容についてWLから制約を受けていません。金銭のやりとりも無論ありません。私たちはWLを一つの情報源と見なし、独立した立場で内容を吟味しました。文書の信憑性に関しては、ニューヨーク・タイムズの協力も得て米国務省の見解を求めました。国務省は「ノーコメント」としつつ、朝日新聞に情報の削除や秘匿は求めない旨を回答しました。タイムズ側も、同紙が信憑性を確認した公電に、私たちが入手した公電が含まれていることを確認しました。

 WLは完全な透明性こそが民主主義を保証すると唱えています。これに対し、外交に秘密はつきものであり、恣意(しい)的な暴露は国益を害すると政府は主張します。私たちは「知る権利」の行使を国民から負託されている報道機関として、政府に最大限の情報公開を求めてきましたが、一方で「知る権利や説明責任」と「秘密の保護」は衝突を免れません。その均衡をどうとるかについては次のように考えました。

 まず、欧米メディア同様、公開によって個人の生命、安全を危険にさらす恐れがあると判断できる情報、諜報(ちょうほう)に関する機微に触れる情報は掲載を見送りました。

 外交交渉に著しい打撃を与えるかどうかも考えました。公電に最高機密指定の文書はありませんでした。外交官の内々の解釈や個人的な印象などは、表に出れば当事者を困惑させるだろうと予想されましたが、それらが交渉を著しく阻害するとは判断しませんでした。公開によって社会が得る利益と不利益を真摯(しんし)に比較し、情報を厳選しました。

 そのうえで、(1)政府の国民に対する説明に大きな齟齬(そご)がなかったかどうかを検証する(2)膨大な断片情報を同時代の外交の文脈に位置づける(3)どのように政策が決められ、日米間でどのような交渉が進められ、米国は日本をどう見ていたのかといった点を再整理する――といったことは、報道機関の使命であり、公益に資すると判断しました。

 デジタル時代における地殻変動の最先端ともいえるWL現象は、既存メディアを大きく揺さぶりました。私たちはいま、大震災報道に全力を傾注しているさなかですが、今回の公電報道もまた、メディアの力と責任を試される機会と受け止め、特集記事をお届けしました。(ゼネラルエディター・西村陽一)

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