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【04年度予算】
 
抜本的改革難しく 財務省原案、分野ごとに点検

一般会計 歳入と歳出
一般会計 歳入と歳出

 04年度予算の財務省原案について、同省は「大胆なメリハリをつけることができた」(谷垣財務相)と自賛し、公共事業の重点配分や科学技術の重視、治安対策の強化などをアピールする。しかし、限られた財源の中、抜本的な改革に踏み込めたとはいいがたい。小泉政権3度目の当初予算を分野ごとに点検する。

●地方財政  実質的税源移譲進まず

 国と地方の税財政改革(三位一体改革)について、小泉首相は「地方の自主性を拡大する」という方針を掲げたが、国から税源を移譲したり、地方自治体の自由度を高めたりする見直しは、あまり進まなかった。

 国から地方への補助金は首相の指示を受け、1兆円削減された。ただ、国土交通省や農水省などが所管する公共事業関連の約4500億円は歳出そのものの削減。

 教職員の給与を国が補助する義務教育費国庫負担金の退職手当など約2300億円は「税源移譲予定交付金」に切り替える。自治体から「今後増加する退職手当だけを移譲されても財政を圧迫するだけ」との声が出たためだ。

 公立保育所向けの補助金約1660億円や03年度に一般財源化していた義務教育費国庫負担金の共済費分など計約4250億円は、同額の所得税を「所得譲与税」という形で地方自治体に配分する。現時点では交付税に近く、実質的な税源移譲とはいえない。

 国が自治体の財源不足を補う「地方交付税交付金等」は5.2%減の16兆4935億円と、5年ぶりに削減。地方単独の公共事業や地方公務員の給与に対する支出を削って、自治体に歳出削減を求めた。

●食と安全  生産履歴管理推進に31億円

 牛海綿状脳症(BSE)や食品の偽装表示を契機にした消費者の不信感の解消に力を入れる。農産物の有害物質管理など安全確保は倍増の17億円、食品表示関連で監視強化など5億円、食品安全性研究に10億円。牛肉などの生産履歴管理(トレーサビリティー)の推進にも31億円を計上した。

 消費者に好まれるコメづくりのため、大規模農家などの担い手を重視し、地方の裁量を増やした新たな助成金に1651億円。生産性向上を図る農地の利用集積の新規事業には19億円。

●年金  国庫負担、5兆8246億円に

 04年度は年金制度改革が実施される。政府・与党合意では、基礎年金の国庫負担割合を09年度までに現在の3分の1から段階的に2分の1に引き上げることが決まった。このため、04年度予算では、年金課税を強化して得られる増収分が新たな財源として計上された。

 税制改正が05年1月からとなるため、初年度の上積み金額は272億円にとどまったが、高齢化で年金受給者が増えたため、国庫負担額全体は1962億円増の5兆8246億円に膨らんだ。

 制度改革に伴い、厚生年金加入者の保険料率は17年度までかけて年収の18.35%(労使折半)に引き上げられる。毎年0・354%(本人分は0.177%)ずつの負担増だ。04年10月以降の実施を予定しており、04年度の厚生年金特別会計は約2500億円の増収となる見通し。

 一方、年金給付額は前年に続き、物価下落を反映したマイナス改定が4月から行われる。03年の消費者物価指数の下落率(来年1月末に確定、0.2〜0.3%見込み)が適用される。

●治安  テロ対策は5割増

 国際テロ事件が相次ぐ中で、テロの未然防止と緊急事態対処に51%増の338億円を計上した。具体的には、警察庁に外事情報部を新設。国際情報の収集体制を強化するとともに、警察移動通信システムなど設備の充実を図る。

 暴力団などの組織犯罪対策関連には146億円。犯罪捜査に有効なナンバー自動読み取り装置(Nシステム)も70カ所で新設、更新する。

 警察業務の効率化を目的に、違法駐車の取り締まり事務の一部を民間に委託するためのシステム開発費も認められた。

 留置場などの整備に133億円、刑務所などの整備や過剰収容対策費は計612億円。外国人の入国審査態勢の強化や不法滞在の対策でも20億円を計上した。ただ、全国で警察官を4500人増やす要求は認められず、復活折衝の課題になる。

●教育  「地域教室」創設31億円

 「地域子ども教室」の創設に31億円を盛り込んだ。少年非行などへの対応として文部科学省が取り組もうとしている「子どもの居場所づくり」の柱で、放課後や週末の小学校で地域の大人たちが子どもの体験活動を支える新事業だ。

 奨学金関連では、貸与する学生数を今年度より約10万人多い96万5千人に拡大。海外留学する学生を対象とする奨学金も初めて用意し、全体の事業規模は1346億円と見積もる。

 集中的に進めている学校施設の耐震化には、6億円増の1155億円を計上した。

 法人化する国立大の初めての運営費交付金は、今年度予算と同規模の1兆3174億円。国立大学法人法の成立の際、国会が「法人化前の公費投入額を踏まえ所要額の確保」を付帯決議していることによる。

 来春に誕生する法科大学院への支援としては、特例的な私学助成として10億円。文科省は概算要求段階で50億円を要望していたが、大幅な減額査定となった。

●金融・産業再生  再生専門家の増員に26億円

 地域経済を支える中小企業の再生に向け、各地にある中小企業再生支援協議会を拡充。主に再生専門家増員の費用として約4割増の26.7億円を計上した。さらに、資金調達に苦しむ中小企業への無担保融資を促進するため、中小企業金融公庫に10億円を出資。民間金融機関の無担保融資債権を買い取って証券化する事業を支援する。

 また、焦げ付いた融資の肩代わり返済の財源となる中小企業信用保険には、03年度と同額の380億円を拠出する。

 金融庁が次期通常国会へ関連法案を提出する公的資金新制度も、地域金融機関向け。預金保険機構に政府保証枠2兆円を設け、自己資本比率が基準を下回った不健全行のほか、健全行にも投入できるようにする。

●防衛  ミサイル防衛関連1068億円

 総額は1.0%減の4兆9028億円。削減率は過去最大となった。

 政府が導入を決めたミサイル防衛(MD)の関連経費として、契約額で1068億円(04年度は145億円)を盛り込んだ。このため、正面装備は5.0%増の8010億円になったが、MDを除いた正面装備は542億円減の7088億円と抑制した。04年末までに策定する新たな中期防衛力整備計画の兵力整備を先取りした格好だ。

 このほか、ヘリ搭載大型護衛艦の建造費として契約額1057億円を計上した。

 イラク復興支援特措法に基づく自衛隊派遣については、陸海空3自衛隊の活動費として135億円を認めた。1日あたりの隊員の手当は最高2万4千円とした。

●福祉・医療  保育所受け入れ5万人増

 生活保護では、基準額(生活扶助)が2年連続で減額(0.2%)となり、月額320円減の16万2170円(標準3人世帯・3大都市圏など)に。現在27万人が受けている原則70歳以上の老齢加算(月額1万7930円・同)も3年で段階的に廃止となる。04年度は9670円に減る。

 「待機児童ゼロ作戦」では来年度も保育所受け入れ児童を約5万人増やす。保育所施設整備費に299億円計上。延長保育も進める。来年4月からは児童手当の対象が就学前から小学3年生が終わるまでに引き上げられる(2932億円)。

 医療費は8.1兆円。病院に支払われる医療費の公定価格、診療報酬改定は薬価を1%引き下げたが、医師の治療技術代はプラスマイナスゼロ。全体で1%減となった。

 医療事故やニアミス事例を第三者機関で収集、分析するなどの医療安全対策に2.4億円。新型肺炎SARSなど感染症対策で検疫体制や医療機関設備に71億円。不妊治療補助には25億円がつき、年10万円・2年間を上限に経済援助する。

●ODA  重点化進め5年連続減

 政府の途上国援助(ODA)は4.8%減の8162億円と、5年連続のマイナス。90年度予算を下回る水準となった。新ODA大綱のもとで「国益重視」を打ち出し、重点化・効率化を進めた。イラク向けなど緊急無償資金協力を95億円増やしたほか、テロに備え在外公館の警備関係費を強化。紛争予防・平和構築に向けた無償資金協力も45億円増額した。

 一方で、有償資金協力(円借款)を137億円減らし、国際協力銀行に対する一般会計からの支出も合理化。国際協力機構(JICA)の事業も見直した。

●雇用  若年者の就職訓練に75億円

 若年者を対象に公共職業訓練などの職業教育と企業での実習訓練を連携させ、即戦力の育成と安定した雇用を目指す「日本版デュアルシステム」の導入に75億円を計上した。企業での訓練中は有期パートとして賃金を支給、修了時には能力評価をして就労を支援する。

 民間機関を活用した職業訓練と就職支援(238億円)では、専門学校などへの訓練委託費に、修了後の就職率に応じた成果主義を導入する。民間に委託する長期失業者の再就職支援でも、実績で差を付ける。

●科学技術  新産業創出へ研究開発1020億円

 科学技術振興費は3.3%増の1兆2700億円と伸びた。総合科学技術会議による事前の優先順位付けを尊重し、最上位のS評価を受けた事業の予算額の伸び率は14%に。これに対し、C評価はマイナス21%とメリハリをつけている。

 中でも、新しい産業創出につながる可能性のある研究開発プロジェクトは、前年より18件多い91件が認められ、額も280億円増の1020億円になった。日本独自の先端計測分析技術・機器の開発や、次世代のがん治療法の研究などが含まれている。

 アンデス山中に日米欧が共同で建設する電波望遠鏡で宇宙や銀河の謎を解明する「アルマ計画」に10億円を計上するなど国際的な事業にも重点配分された。

●環境  石油会計で温暖化対策

 石油特別会計を利用して温暖化対策に力を入れる。風力発電や建物の高断熱など、工夫をこらした街づくりを目指す自治体10カ所に計12億円を交付。技術開発を進める事業費16億円も新たに盛り込んだ。温暖化対策ビジネスなどの拡大支援にも32億円をかける。

 旧日本軍製造の毒ガス兵器による地下水、土壌汚染の調査と被害防止の緊急対策として27億円を計上。トキの野生復帰に向け、大型の順化施設を3年かけて建設するために5億円が認められた。

●住宅  公営住宅供給、前年度並みに

 公営住宅の供給戸数は4万7千戸で、前年度並み。改善戸数を約3千戸増の2万2千戸とする一方、建設戸数は抑える。さらに、公営住宅の整備・管理に民間資金を活用するといったコスト削減策も進め、公共賃貸住宅整備費は13.0%減の3367億円。

 特殊法人向けの支出が軒並み減らされるなか、住宅金融公庫向けの補給金は11.0%増の4044億円。低金利のため、過去の住宅ローンの繰り上げ償還が増えていることに対応する。住宅対策費全体では、6.1%減の8746億円。

●鉄道・空港  拠点空港整備で大都市圏3割増

 空港整備は7.1%増の1643億円。うち大都市圏拠点空港(中部国際空港を除く)が30.3%増の879億円となる一方、一般空港は10.7%減の358億円と重点化を図った。04年度に着手する羽田空港再拡張の事業規模は107億円。新滑走路の契約・発注手続きなどに充て、国費87億円と財政融資資金、東京都からの無利子貸付金で賄う。

 関西空港は36.0%増の703億円だが、2期事業計画の見直しに伴い無利子資金の割合が増えたためで、事業規模はほぼ同額の955億円。

 整備新幹線は同額の686億円。これとは別に北海道、北陸、九州の3路線の未着工区間の新規着工も視野に、駅整備などの調査に充てる「整備新幹線建設推進高度化等事業費」を31億円から35億円に増額した。

●道路  拡幅関係は10.4%減

 公共事業の見直しで道路整備費全体は5.8%減の1兆8028億円。東京、大阪、名古屋の3大都市圏の環状道路整備費を8.5%増の2136億円と増やす一方、道路拡幅などの一般改築事業は10.4%減の1428億円と大幅削減した。

 一方、道路特定財源からは、「まちづくり交付金」向けに300億円、道州制北海道モデル事業推進費に27億円、地籍関連調査に30億円と、道路と直接関係しない分野への使途拡大が目立つ。 (12/21 12:33)




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