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臓器移植法改正、舞台は参院に 「脳死とは」さらに議論

2009年6月19日2時2分

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写真衆院本会議で、臓器移植法改正案のA案に記名投票する議員ら。手前は提出者の中山太郎氏=18日午後、福留庸友撮影

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 臓器提供を増やすため、「脳死は人の死」という前提で、子どもからの提供にも道を開く臓器移植法改正のA案が18日、衆院本会議で可決され、参院に送られた。参院では、早期解散を求める第1党の民主党が法案審議をどう進めるかが焦点になる。移植要件緩和に慎重な議員らによる独自案提出の動きもあり、脳死を人の死と認めるかどうかをめぐっても、再び論戦が繰り広げられそうだ。

 A案は賛成263、反対167で可決された。自民、民主、公明など主要政党が党議拘束をかけずに採決に臨んだため、それぞれ党内で賛否が分かれた。自民党では、麻生首相(党総裁)が反対、細田博之幹事長が賛成、民主党では鳩山代表が反対、岡田克也幹事長が賛成、公明党では太田代表が反対、北側一雄幹事長が賛成と、党首と幹事長の投票行動が違った。民主、公明両党では反対が賛成を上回ったが、約300議席を有する自民党議員の3分の2が賛成したことが決め手となった。

 A案は参院でも過半数の賛成を得られれば成立するが、否決された場合、衆院での3分の2の再可決は困難とみられ、廃案になる可能性が高い。参院がA案の修正案やA案とは別の案を可決した場合は、改めて衆院で過半数の賛同を得る必要がある。参院で審議中に衆院が解散されれば、A案は廃案になる。

 参院の民主、社民両党を中心とした有志議員が検討している独自案は、臓器提供の範囲は現行法のままで、逆に脳死の定義を厳格化するC案を基本にしている。子どもからの臓器提供を認めるかどうかを有識者が検討する「こども脳死臨調」の設置を新たに盛り込む方針だ。衆院本会議で採決されずに廃案となったC案は、提出者3人のうち2人、法案提出への賛成者20人のうち17人を民主党議員が占めていた。

 野党多数の参院の国会運営では民主党が主導権を握るが、臓器移植法改正案の審議の進め方の方針は決まっていない。同党の輿石東参院議員会長は18日の記者会見で「党議拘束のない法案で、最優先と思っていない」と語ったが、その後の参院幹部らの協議では「早期解散を求めているのに採決を遅らせれば、首相に解散しない口実にされる」との声も上がった。

 ある参院幹部は「採決日程は党として政治判断が必要だ」と語り、衆院並みの審議時間で月内にも採決するか、来月28日までの残り会期を使って党内に反対論の根強いA案の修正協議を行うかなど、来週の党役員会などで対応を協議する。

〈A案の要点〉

(1)「脳死は人の死」という前提に立つ。ただし、本人・家族は脳死判定や臓器提供を拒める

(2)提供者に年齢制限なし。本人意思が不明の場合、家族が提供を決められる

(3)親族に優先して提供できる

(4)政府や自治体は移植医療の啓発、知識普及に必要な施策をとる

(5)虐待を受けた子が、親の判断で臓器提供をさせられないようにする

 〈脳死〉 脳幹を含むすべての脳の機能が完全に止まり、回復することがない状態。自発呼吸をつかさどる脳幹の機能が失われているので、人工呼吸器を使わないと呼吸できず、心停止に至る。

 現行の臓器移植法では、脳死からの臓器提供を望む意思をあらかじめ書面に残していた人が、実際に脳死になり、国のガイドラインに基づく法的脳死判定で確認された場合だけ、脳死は「人の死」になり、その人の臓器を摘出することができる。家族が拒めば、判定も摘出もできない。

 法的脳死判定は、複数の医師が、人工呼吸器を止めて自発呼吸がないかどうか調べる無呼吸テストなど5項目の検査を6時間あけて2回行う。

 臨床現場では、医師が治療方針を決めるため、患者が脳死状態かどうか調べることがある。その場合、法的脳死判定の検査項目から無呼吸テストを除くことが多い。いわゆる「植物状態」は脳幹の機能が残っていて自発呼吸があり、脳死とは異なる。

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