東京・秋葉原の電気街の路上で、通行人らが無差別に襲われ17人が死傷した事件で、亡くなった7人のうち4人の死因が、胸などを刃物で1回だけ刺されたことによる失血死であることが警視庁の調べでわかった。殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は殺傷力の強い特殊なナイフを使っており、同庁は明確な殺意を示すものとみて調べている。
同庁は10日午前、加藤容疑者を殺人未遂容疑で東京地検に送検した。
万世橋署捜査本部の調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点で、レンタカーのトラックで通行人をはねたあと、ナイフで次々に刺して殺傷したとされる。
司法解剖の結果、死亡した7人のうち3人は車ではねられたことによる全身や頭部の打撲が死因だった。死者4人は刺されたことによる失血死。それぞれ腹や胸、背中の1カ所ずつを刺されていた。
重傷者の中にも、刺された傷が肺などまで達していた人が少なくなかったという。
加藤容疑者が犯行に使用したのはダガーナイフと呼ばれる両刃の短剣型ナイフ(全長約23センチ)。人を刺す武器として想定されているタイプという。司法解剖で、加藤容疑者は刺した上、刃を上方に動かしていたことも判明。この動きを加えると内臓などがより傷つくとされ、捜査本部は同容疑者がこの方法を事前に知っていた可能性もあるとみている。
また、加藤容疑者は現場で2本のナイフを両手に持っていた可能性もあるという。
加藤容疑者は事件2日前に福井市内のミリタリーショップでナイフを購入していた。調べに「事件を起こすことを決意し、凶器を買いに行った」と供述しているという。購入したとみられる6本のうち一部は、自宅の家宅捜索でも見つかっておらず、捜査本部は所在を確認している。
交差点の防犯カメラ映像の分析などから、加藤容疑者のトラックは赤信号を無視して時速40キロ前後で交差点に進入していたこともわかった。交差点内で3人をはねたあと止まり、車を降りてダガーナイフを手に走り出したという。
一方、加藤容疑者は事件前日の7日、秋葉原を訪れ、自分のパソコンやゲームソフトなどを売っていたことがわかった。