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V争い、東京ヴユース軸 「森本に続け」プロを意識

2005年09月21日12時48分

写真

柏戦でゴール前にパスを出す東京ヴの森本

 サッカーの18歳以下(U18)による高円宮杯第16回全日本ユース選手権(日本サッカー協会主催、朝日新聞社共催、東芝特別協賛)の開幕が、23日に迫った。9地区のプリンスリーグを勝ち抜くなどした24チームが出場する。注目は今夏の日本クラブユース選手権を12年ぶりに制した東京ヴェルディユースだ。J1の最年少記録を次々に塗り替えた東京ヴのFW森本貴幸(17)の元チームメートたち。彼の活躍に大きな刺激を受け、「モリに続け」と全国制覇を目指している。

■現状に満足せぬエリート

 平日の午後5時。東京都稲城市のよみうりランド遊園地から、閉門を告げる「蛍の光」が聞こえ始めるころ、隣接するヴェルディグラウンドの照明が一斉に点灯。天然芝2面、人工芝2面のサッカー場が浮かび上がる。

 山田卓、小林慶らトップの主力選手たちが練習を終えて高級外車で帰途につくのと入れ替わるように、高校の授業を終えたユースの選手が自転車でやってくる。

 選手は37人。岩手県や佐賀県などからの出身者9人は近くの寮で暮らすが、電車を乗り継いで1時間以上かけて通う選手もいる。

 ユースの下には中学生約60人のジュニアユース、小学校高学年約40人のジュニア、約1000人のスクール生がいる。全年代が同じ敷地で練習する。森本はジュニアユースでのず抜けた活躍が認められ、昨春、15歳でユースを通り越しトップへ昇格した。

  ◇  ◇

 午後5時半。30分走からユースの練習は始まる。トップ専用の天然芝を使うことは許されない。フェンスで仕切られた、隣の人工芝ピッチが練習場所だ。

 小学5年の森本が全日本少年大会で優勝した時のメンバーなど、大半の選手が小、中学生時代に全国優勝を経験したエリートだ。

 だが、だれも現状には満足していない。彼らの視線は、常に「フェンスの向こう側」に向いている。

 森本と同学年で17歳のFW皆川は言う。「ここに来ている以上、プロを目指さないと意味がない」

 横浜・黒滝SCから小学6年の終わりにジュニアユースのテストに合格。中学1年では唯一、Aチームでプレーしていたが、すぐに森本に追い抜かれた。

 「モリは練習熱心だった。体の使い方も、決定力も現時点では向こうが明らかに上。あいつが去年プロになった時、正直悔しかった」。東京ヴのホームゲームはたいてい応援に行くが、顔を合わせると、サッカーの話はあまりしなくなった。

 森本と小学生時代から2トップを組んできた喜山は1学年上。「年下だけど、自分に足りないものを気付かせてくれる存在。今でもすごく意識している」

 FW喜山、MF弦巻、DF三原の高3トリオは、森本から1年遅れで今春からトップの練習にも参加している。来季のプロ契約を目指しているが、甘くはない。昨季、ユースからトップに上がった選手は1人もいない。

  ◇  ◇

 「ユースの連中は、いつトップやサテライト(2軍)から紅白戦に呼ばれるか、今か今かと待っている。ジュニア(小学生)からユースまで、プロ選手と同じ敷地で練習できる環境ならではの刺激です」とチーム関係者は説明する。

 高校の強豪に比べて、クラブ育ちはボール扱いはうまいが、闘争心に欠け、競り合いに弱い。体力もない。よくそんな指摘がされる。

 「技術にあぐらをかいているやつばかり」と就任時に感じた柴田峡監督も、選手を徹底的に走らせることから始めた。

 7月、関東プリンスリーグの韮崎高(山梨)戦。6−1の大勝だったが、課題が残ったため、直後に2時間の走り込みを課した。完走したのはたった4人。その一人、高校3年の征矢貴は「地獄を見た」と言った。

 「ヴェルディという狭い枠じゃなく、各年代の日本代表になるぐらいの高い目標を持たせたかった。身近なライバルとの比較よりも、自分の上限にチャレンジするメンタルが大事だ」と柴田監督。連戦の合間の走り込みは、その後も続いた。

  ◇  ◇

 さらに東京・帝京高の監督として全国優勝9度の古沼貞雄さんが今春、育成アドバイザーに就任した。「帝京の子はヴェルディよりもボールに触る時間が3倍長かった。あまり恵まれた環境でやっていたら、名犬も雑犬になってしまう」と、厳しく見守っている。

 日本クラブユース選手権の優勝は、クラブ独特の華麗なパス回しで収めた勝利ではなく、走り勝った成果だ。

 8日間での6試合は、すべて1点差以内の勝利。監督が理想とする「役割を固定せず、スペースに走り込む流動的なサッカー」が定着し、強豪を退けた。

 全体練習が終わる午後8時すぎ。夕食の準備が整ったクラブハウスに、選手たちはなかなか引き揚げてこない。森本が一人黙々とやっていたように、照明が消えるまで、シュート練習を繰り返す選手たちの姿があった。


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