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大久保嘉人=AP
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大久保嘉人(22)を見ていて感心するのは、日本にいた時からプレーぶりが少しも変わらないことだ。普通、初めての海外挑戦ともなれば、最初のうちはその国のプレースタイルを探ろうとしてみたり、周りへの遠慮が出たりしてもおかしくないのに、大久保にはまるでその様子がない。
動き回って裏を狙い、ドリブルを仕掛けるスタイルはスペイン初戦から全開だったし、感情をむき出しにする試合中の振る舞いも、セ大阪時代そのままだ。海外でもまったく臆(おく)することなく勝負できるところが強みだ。
「自信はある」。11月8日、移籍が決まった時の会見から、大久保はこの言葉を繰り返した。頼もしさを感じたが、同時に根拠の薄さが気になった。彼が挙げたことは二つだ。攻撃的というスペインサッカーの印象が自分に合っているということと、イタリアなどを相手にしたアテネ五輪で2得点し、外国人相手に自分のプレーができたということだ。肝心のマジョルカのことは「よく知らない」と言った。
デビュー戦前日にも、本当に大丈夫かなと思うことがあった。相手のデポルティボ・ラコルニャのことは知らないし、試合を見たこともないというのだ。スペインリーグに関心があるなら、欧州チャンピオンズリーグ常連の強豪を知らないわけがない。まして翌日の試合相手だ。
だが、杞憂(きゆう)だった。
1月9日は完璧(かんぺき)なデビュー戦になった。1得点1アシストと大活躍。前半早々に右ひざを痛めながらフル出場した奮闘ぶりに、スペインの全国スポーツ紙は「すべてをやった」と絶賛した。
大久保は目を輝かせて、「楽しかった」と繰り返した。ピッチを幅広く駆け回ってパスを引き出し、審判に文句を言う姿は、異国で迎える初戦とは思えない生きの良さだった。
大久保らしさは名門レアル・マドリードや、バルセロナの本拠に乗り込んでも変わらなかった。レアルのベッカムと激しく競り合い、バルセロナ主将のDFプジョルとはボールの奪い合いで相手の足をける場面もあった。どちらの試合後も、相手の印象は「うまかった」というくらい。スター集団と対戦した感動はまったくない。
そもそも大久保はどこのチームとか誰かへのあこがれを口にすることがない。大事なのは自分のプレーが楽しんでできるか。だから新天地でも迷いがないし、スター相手にも遠慮がない。
デビュー戦後は、右ひざのけがでしばらく戦列を離れたこともあって、苦労した。スペイン語が話せず、チームメートとコミュニケーションがとれていないことにクペル監督は懸念を示したが、本人は「サポートがない」と周りへの不満でいっぱいのようだった。
変に周囲に合わせてダイナミックなドリブルや鋭い飛び出しが鈍るようになっては大久保らしくない。日本で育てた無鉄砲な自信を持ち続けて、世界トップのリーグを席巻してほしい。そう願うのは、ぜいたくだろうか。
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