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中田英寿=AP
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柳沢敦=AP
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プロのサッカー選手である以上、問われるのはピッチの上で何ができるかに集約される。周囲からの視線に容赦はない。「ほかの選手にはできないことが、お前にはできるのか」と、常に投げつけられる問い掛け。人数が限定される外国籍選手枠に含まれるからこそ、欧州でプレーする日本人選手はより厳しい評価を受けるまな板に乗っているといっていい。
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サッカーにとどまらず、海外の情報がまだ限られた時代に欧州でプレーする難しさは想像をはるかに超える。77年秋、ドイツ(当時西ドイツ)の1FCケルン入りした奥寺康彦さん(53)は9年の間、世界最高峰と言われたブンデスリーガに身を置いた。開拓者でありながら、数少ない成功者のひとりでもある。
1FCケルン、ヘルタ・ベルリン、ベルダー・ブレーメンと渡り歩いて、計235試合に出場し続けた息の長さ、国内リーグやドイツカップの優勝経験を持つ実績。海外で通用する条件のひとつとして、自分の得意なプレーを持っていることを挙げている。
「東洋のコンピューター」と呼ばれた奥寺さんは、FWからMFやサイドDFへとポジションを変えながら、プレーする場を確保していった。
チームという組織の中で与えられた役割を勤勉にこなし、派手さはないが好不調の差が少なく、計算の立つ選手。77年といえば、西ドイツの地元ワールドカップ(W杯)での優勝から3年後。個性派のそろったブンデスリーガで、いまの日本人選手に通じる持ち味は異彩を放った。
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奥寺さんの時代と、三浦知良(38)のイタリア行きから現在に続く欧州参戦の流れを比較して、どちらが難しい時代だったかを説くのはあまり意味を持たない。あらゆるスピード化が進み、サッカーそのものが大きく変化してきている。
現在のサッカーはむしろ、日本人選手の特徴を発揮しにくくなっている気がする。80年代から90年代にかけて好守両面で組織を練り上げてきた潮流は、最後のゴール前では守る側も攻める側も、より個人の持つ力が物をいう時代になってきた。スピードやパワー、ずば抜けたテクニックといった個人の持つ要素が決定的な要素となる。フィジカルの能力で劣る我々日本人には生きにくい時代なのだ。
もともと、日本の選手は自分ひとりでボールを持ち込んでシュートを決めて来い、などという指導を受けて来ていない。学校教育と同じように、周囲に目を配り、ときに強引にシュートを打つよりも味方を生かすパスを優先させることを求められてきた。日本の代表選手からよく聞かれる「バランスを重視した」という言葉は、受けてきた指導の違いを象徴的に表している。
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背景にあるのは、欧州とのサッカー観の違い。一口に「いい選手」「いいプレー」という言葉の持つ意味が違うのだから、苦労は大きい。
スペインのマジョルカに渡った大久保嘉人(22)が最初に戸惑ったのは、ホームとアウエーの戦い方の違い。地元の声援を背に果敢に攻めて出るのに対して、敵地では極端に消極的なスタイルに落ち着いてしまう。ホームでの積極的なスタイルをそのままアウエーに持ち込めば、もっといいサッカーができるはずなのに、という違和感は、欧州に渡った選手の多くが感じるものだ。Jリーグでは、その違いを強く感じることはまずない。
Jリーグ得点王とMVPを手にしてドイツに渡った高原直泰(25)は、監督の求めるストライカーの在り方と自身のプレースタイルのギャップに悩んだ。ときに左右に流れて、パスを引き出してゴール前に入っていく形を持っていた高原は、「ストライカーなのだから、肝心のゴール前という持ち場を離れるな」とポジションの取り方について繰り返し求められた。
イングランドで苦戦する稲本潤一(25)は、日本では守備的なMFとして高い評価を集めてきたが、イングランドでは、中央MFは守備ではゴール前で体を張り、攻めてはシュートまで打ちに出ていく選手こそが評価される。守備のバランスを崩しても、果敢に攻めていくプレーこそが求められる風土なのだ。
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肝心なのはピッチの上の出来だが、日常生活をどう過ごすかも重要だ。プレーするということは、その地で生活することを意味する。異国の地での普段の生活でストレスをため込めば、プレーに集中することは難しい。
戸田和幸(27)がイングランドからオランダに移籍したとき、新居探しでこだわっていたのはバスルームにバスタブが付いているかどうかだった。疲労回復のためにも、体をお湯につけられることが必要だったからだ。日本食でなければだめという選手なら、食材確保も重要な環境整備のひとつだろう。
海外で通用する条件として、奥寺さんはもうひとつ挙げている。自分をアピールするメンタリティーをもっているかどうか。
こちらは言語の違いを含めたコミュニケーションの問題となる。同様に、チーム内のコミュニケーションの大切さを訴えていたのは、中田英寿(28)だ。自身の短所はさておき、長所を押し出すずぶとさや大胆さ、おおらかさ。自己主張は、日本人選手に最も求められている能力かもしれない。
■「スペインが合っている」 大久保
■フランスで順応性アピール 中田浩
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