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統一ボールどう転ぶ プロ野球1軍 来季からミズノ社製

2010年12月11日11時28分

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写真:来季から12球団が使うミズノ製のボール拡大来季から12球団が使うミズノ製のボール

 プロ野球の1軍公式戦のボールが、来季からミズノ社製に統一される。長年、複数社のボールを使ってきた球界にとっては大きな変化だ。国内市場で6割のシェアを誇る「ミズノ」の寡占化への流れがさらに加速するのか。ライバル社は危機感を募らせる。

■他社「最悪の場合、撤退も」

 「最悪の場合、ボール(の生産、販売)からの撤退も考えないといけない」。ミズノ製への統一で、来季から公式戦使用球から外れるアシックス(本社・神戸市)。長年ボールの開発に携わってきた担当者はショックを隠さない。

 同社は米国メーカー「ローリングス」とライセンス契約を結び、1985年から硬式ボールを販売している。ミズノと違って自社工場はなく、日本のメーカーに製造を委託してきた。そこも十数年前からは人件費を抑えるため、中国に工場を移している。

 今季、アシックスのボールを公式戦で使ったのはロッテだけ。ミズノ製とともに年間1千ダース(1万2千個)ずつ仕入れ、交流戦はミズノ、交流戦以外はアシックスと、時期によって使い分けた。価格は1個1100円。アシックスが来季、ボール統一によって失う売り上げは、単純計算で約1300万円になる。

 ロッテの球団幹部は「今までの付き合いがあり、バッサリ切ることはない」と、アシックスに対し、ボール以外の用具で、ある程度は損失を埋め合わせる考えを示す。しかし、どれだけできるかは不透明な部分が多い。

 統一されるのは1軍の試合球だけで、2軍戦の試合球や練習球はどのメーカーでもいい。しかし、アシックスは影響の広がりを恐れる。

 ミズノの新しい公式球は1個850円。アシックスの練習球より安い。「球団は練習球についても値下げを要求してくるだろう。今でもあらゆるコストを削った価格。どこをどう削ればいいのか」

 プロ、アマ含め年間約2万ダース(24万個)を販売する同社では当面、従業員の失職などはないというが、「アマにも統一球が広がれば、我が社にとっては厳しい状況になる」と話した。

■球団は「節約につながる」

 当初、球団にとってはミズノ以外のメーカーと取引をやめることが、長年の付き合いもあって難しいと見られていた。だが、1月に本格的な議論が始まると、半年で話し合いはまとまった。「各球団が気にしていたのは価格」と日本野球機構(NPB)の一人は明かす。試合、練習用をあわせ、ボールにかかる費用は1球団あたり年間5千万〜6千万円。統一が節約につながることが分かり、多くの球団が賛成になびいた。

 選手も、統一を前向きに受け取る声が優勢だ。

 ロッテの成瀬は「僕が気になるのは縫い目の大きさ。アシックスは縫い目が小さく、ミズノは大きい。交流戦明けなどは投げづらかった。統一した方が公平」と話す。

 統一球はゴム芯を低反発素材に変え、反発係数は0.4134とNPBが定める基準の下限にまで抑えられた。

 ただ、実戦で初めて統一球が使われた11月の日韓クラブチャンピオンシップでは、打球の勢いに大きな変化はなかった。左翼席上段へ本塁打を放ったロッテの今江は、「芯に当たれば飛距離は変わらない」と話した。

 来季からミズノが供給する統一球は、年間約10万個。硬式球はここ20年の値上げ幅が2割ほどで、人件費の上昇ペースに追いつかないため、増収は大きくないという。

 それでも、ミズノにとって今回の統一は意味があるようだ。国内の硬式球市場では圧倒的なシェアを誇る同社だが、海外のプロリーグにはいま一つ食い込めていない。まずは、国内最高峰のNPBの公式戦使用球を一手に担うことでブランド力を高め、足場を固めようとしているのでは――。業界内にはそんな見方が広がる。

 「100年近く硬式球を作ってきた我が社にとって、今回の決定は光栄の一言」

 自社製品の採用について、ミズノは感謝の言葉のみを繰り返している。(渋谷正章)

■今季各球団が公式戦で使ったボール

ソフトバンク ミズノ

西武 ミズノ

ロッテ ミズノ、アシックス

日本ハム ミズノ

オリックス ミズノ

楽天 ミズノ、ゼット

中日 ミズノ

阪神 ミズノ、久保田、ゼット

巨人 ミズノ

ヤクルト ミズノ、ゼット

広島 ミズノ

横浜 ミズノ

    ◇

 公式戦使用球統一の経緯 2009年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)後、「滑りやすい」と言われる国際球への対応につながるとして、加藤良三コミッショナーが統一を提唱。当初は議論が進まなかったが、「飛びすぎる」との批判のあった従来のボールの改善につながるなどとして、今年1月から本格検討。6月の実行委員会で来季から2年間、ミズノ製で統一することが決まった。更新は選手の意見などで判断される。

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