(27日、阪神4―3巨人)
球審の判定に怒りをぶちまけるクルーンの傍らで、サヨナラの押し出し四球を選んだ新井が両手を天に突き出した。「自信を持って見送りました」。160キロに迫る直球とフォークに食らいついてつかんだ、9球目のボール。189センチの大男を中心に、タテジマの歓喜の輪が広がった。
1点を追う9回。ドラマは先頭・鳥谷の左前安打で始まった。続く矢野は送りバントの構え。その初球、クルーンの直球が矢野の顔面すれすれを襲う。倒れ込んで、相手をにらみつける矢野。ブーイングの嵐となった甲子園。その騒然とした雰囲気にクルーンが我を失う。試合は百八十度、別の方向へ進みだした。
四球と犠打などで、2死一、三塁となり、打席にはこれまで全打席出塁している赤星。セ・リーグの出塁率トップを走る男は、2ストライクに追い込まれてもあきらめない。外角157キロをたたきつけると、打球は三遊間へ。遊撃・坂本の送球より、一塁へ駆け込む赤星の足が早かった。「セーフになった時は子どものようにうれしかった」。この適時内野安打で追いつくと、後は押せ押せ。藤本と新井の連続四球で、今季初のサヨナラ勝ちだ。
同点打の選手会長は、9回のピンチも好捕で救っている。「1点差なら勝負は分からないと思っていた」。開幕から9カード連続負け越しなしで、4月中の貯金12は球団史上最多。阪神はどこよりも、勝利に貪欲(どんよく)な集団と化している。(野村周平)
○矢野(神) クルーンが投げた、顔面すれすれのボールに「危ないやろ。死ぬかと思ったわ」と憤った。
○今岡(神) 8回、代打で4試合ぶりの適時打を放つ。「今日は結果が一番。よかったね」
○フォード(神) 4打数無安打に「何かを変えようと打席に入っているんだけど……」と言葉少なだった。
●原監督(巨) 「うちの最高の段取りだったんだが。最後のはストライクと信じたいね。また来週から新たにね。大丈夫」
●ラミレス(巨) 6回に一時は逆転となる左翼への2点適時二塁打。「フォーク。脇を締めて反応できた」
●内海(巨) 先発で6回3安打1失点。「今季1番の調子のよさだった。上原さんから頑張れと言われた。勝ちたかったんですが……」