中日に勝ち、マウンドで笑顔を見せる阪神の藤川と矢野(右)=小川智撮影
「びっくりした」。それが守護神の感想だ。1点を勝ち越した9回。四球と安打などで2死一、三塁のピンチを招いた阪神の藤川のもとに、岡田監督が向かってくる。指揮官直々の激励は、今季初めてのことだった。
「同点でも逆転でも一緒。どうこうしろっていう指示じゃなく、お前に任せる、と言ってくれた」
打席には代打・立浪が待ち構えている。敬遠を考えていた藤川は「勝負」と腹を決めた。これでもか、と直球を投げ込む。5球目。力のないゴロを自らのグラブでつかんだ。一塁へ送球し、今季30セーブ目を勝ち取った。
08年の岡田阪神で、揺るがないものが二つある。一つは4番・金本。そしてもう一つが、抑え役に藤川を配置することだ。
阪神のここまでの連敗はわずか3度。絶対的な主砲と守護神という攻守の幹の活躍が、安定した戦いにつながっている。
岡田監督は言う。「あそこまで行ったら、打たれてもしゃあない。中途半端なことだけはせんように。勝負の場面だったんやから」。言葉の節々に、27歳の右腕への信頼がにじむ。「びっくりしたけど、うれしかった」。普段は派手なパフォーマンスで選手を鼓舞しない指揮官の思いを、藤川もしっかりと受け止めている。
ヤクルトに負け越した直後の3連戦の初戦。今季の阪神は、とるべき試合を落とさない。(野村周平)