日本プロ野球組織(NPB)が地球温暖化対策の一環として、今季から試合時間の短縮に取り組んでいる。題して「グリーンベースボールプロジェクト」。1試合の平均時間を12分縮め、ナイター照明などの使用削減で二酸化炭素排出を減らすのが狙いだ。各球団の取り組みや効果のほど、現場の声をひろった。
■選手もチアも急ぐ
過去10年の平均試合時間3時間18分の6%に当たる12分の短縮を目指している。この6%とは、京都議定書で定めた日本の温室効果ガス削減目標と同じ数値だ。開幕から約1カ月半たち、セ、パ両リーグの1試合の平均時間は3時間7分(12日現在)。目標には1分届かなかったが、成果は着実に表れている。
NPBは今季、攻守交代は2分15秒、イニング間の投手交代は3分15秒、イニング途中の投手交代は球審の通告から2分45秒などといった具体的な目標値を定めた。各球場のスコアボードなどにその時間が表示される。時間を超えても罰則はないが、巨人の福王・内野守備走塁コーチは「数字が出るから意識せざるを得ない」と話す。
各球団も独自に取り組み始めている。横浜スタジアムでは昨季まで、投手交代のアナウンスがあってからリリーフカーに乗って交代投手が出てきていたが、今季からはアナウンス前から出動。イニング間に行われるチアリーダーのパフォーマンスも、踊る場所まで全力疾走する。
千葉マリンではリリーフカーの速度を時速20キロから25〜30キロに上げた。ナゴヤドーム、甲子園球場では攻撃時、昨年まで25〜30秒近く流していた打者のテーマソングを約10〜20秒に短縮した。NPBの試算では、1試合当たり12分間の短縮で電力量で435キロワット時、二酸化炭素で約242キロの削減につながる。栗の苗木で約6400本が吸収する量に相当するという。
■テレビの要望も
時短対策のきっかけは環境問題のほかに、昨年末、在京テレビ局が地上波中継の枠内で収まるよう試合の短縮を要求したこともある。
試合時間短縮の動きを現場はどう見るのか。ロッテのバレンタイン監督は「ムダな時間は、ファンを飽きさせる。ムダな時間をなくすことが第一の意義だ」と歓迎する。一方で、楽天のある選手は「自分の打席に入るリズムは変えたくない」。全体的には「打者としてアウトになった投手がすぐにマウンドに向かうなど、スピードアップの意識が結果に表れている」と、セ・リーグの大越英雄・事務局長は評価する。
■米はさらに先行
大リーグの昨季平均は2時間51分。1試合の平均時間は統計が残っている77年以降、3時間を超えたことはない。攻守交代の時間は2分5秒、全米中継の試合は2分25秒と決められている。マイナーリーグでは、正当な理由もなく打席を外すとストライクが宣告される。昨季、この経験があるレイズの岩村は「そういう下積みがあるから、メジャーに上がっても選手は(時短を)意識するのでは。日本も2軍でいろいろ試してみればいい」と話す。ロッテから今季、インディアンスに移籍した小林雅は「審判のテンポも大事。ストライクゾーンも関係あると思う」と述べる。
プロ野球での取り組みは順調に始まった。ただ投手が疲労し交代が多くなる夏場や、試合運びがより慎重になる優勝争いなどを迎えた時に、試合時間がどう変化するか。大リーグでは、打者がバットを折った時すぐに交換出来るよう、バットボーイがその打者のバットを持っていることを徹底させている。選手の意識変化のほかにも、取り組む点はありそうだ。