延長11回、2点差をひっくり返してサヨナラ勝ちにつなげた日本ハム。興奮冷めやらぬまま口にした梨田監督のひと言が、この日を象徴していた。
「全員野球だったなあ」
この回、抑えのマイケル中村が勝ち越し2ランを浴びた。得点力がリーグで最も低いチームはこれまでなら息の根を止められている。だが、この日は粘りに粘った。
田中、代打・鵜久森の連打で一、二塁と攻め、三木の犠打が相手捕手の一塁悪送球を誘う。1点差。なお1死二、三塁で小谷野が右前へ流し打って追いつくと、高橋が決勝犠飛を左翼へ打ち上げた。
高橋と小谷野は、ともにけがを抱えて万全ではない。その2人の思いは重なる。「とにかくつなぐことしか考えていなかった」
苦しい展開だった。稲葉が尻の痛みを訴えて途中交代。ダルビッシュは6回に左手首にライナーを受けて最後まで投げられなかった。
4番がいない。エースだけで勝てない。負けていれば勝率5割をきる。そんな試合で白星を手にしただけに、チームが浮上するきっかけになるかも知れない。
手首の骨折を覚悟したというダルビッシュは言った。「マイケルが打たれて負けたらチームのショックは大きかった。今日は勝てたことが大きい」
「全員野球」はこの日だけでなく、今季を象徴するキーワードになるかも知れない。(笠井正基)