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戦士のほっとタイム 舞の海
 
岩隈久志(近鉄投手) 妻の励ましで急成長

「キャッチボールが楽しくて小学1年で野球チームに入りました」=小川智撮影
「キャッチボールが楽しくて小学1年で野球チームに入りました」=小川智撮影

 勝利数で両リーグのトップに立つ猛牛軍団のエースです。イケメンの23歳が、日本を代表する投手の一人に急成長しました。

 ――惜しくも開幕からの連勝の日本記録15は逃しましたが、開幕から12連勝とは見事でした。

 こんなに勝てるとは思ってなかったです。とにかく落ち着いて、平常心で、最少失点で抑えようと心掛けていたら、いい結果につながりました。力むと、ボールは散るか、真ん中に集まるけど、落ち着いていると、コースを狙えるんです。今年はフォークボールを交ぜて、それがまとまっているのがいいとも思います。

 ○パの指名に感激

 ――ドラフト5位指名でしたよね。プロ2年目で初勝利を挙げて4年目の昨年は15勝。近鉄にとっては「いい買い物」でしたね。

 そうすね(笑)。高3の夏は西東京大会のベスト4でしたし。でも、コーチには「プロに入ってしまえば、スタートラインに差はない」と言われたし、僕も1位が宮本(大輔、宮崎・延岡学園高)、2位が高木(康成、静岡高)と、同じ高校生投手だったので「負けたくない」とやる気は十分でした。パ・リーグが好きだったので、指名を受けたときはすごくうれしかったです。

 ――何で急成長できたのでしょうか。

 自分、細いじゃないですか。高校時代の監督に「行けるんだったらプロで体づくりして可能性を試せばいい」と言われて、プロ志望にした経緯があるんですけど、実際は投球フォームの基本というか、どう投げたらより速く、より制球力がつけられるか、2軍時代に久保コーチに教わって目からうろこが落ちました。今の知識が高校時代にあったらと思いますね。

 ――今季は球宴ファン投票でもパの先発部門で1位になりました。人気もあるし、若いから遊び盛りかと思ったら、21歳で早々と結婚されましたが。

 元々、お酒も飲まないし、外を出歩くタイプじゃないんです。それに、嫁(まどかさん)がいたから今、活躍できるようになったんです。

 ――独身時代に比べて何が変わったのでしょう。

 負けても「しょうがねえや」と深く考えることをしなかったのが、結婚してからは、敗因を追求して、改善点を見つけて、気持ちの切り替えを早くすることを心掛けるようになりました。

 ――結婚してからそうなったのはなぜですか。

 一人じゃないという気持ちが生まれたからですかね。負けて愚痴をこぼしたときに「それじゃ成長しないわよ」と嫁に言われて、ハッとしたこともありました。

 ――すると、奥様に色んなことを教えられたりしてるのですね。

 連勝中は、記者の取材をうるさく感じたり、重圧に感じたりもして、家で「そろそろ負けてもいいんじゃない?」とか、投げやりに言ったこともあるんですね。そしたら「ずっと勝ち続けることは相当大変なことで、負けるときは負けるもの。いたずらに重圧を感じるのはよくない」と言われて。気が楽になりました。連勝が途切れた時も「次で頑張ればいい」と言われて気持ちを切り替えました。話せる人がいると違います。

 ――奥様は西武の広橋元打撃コーチの長女で、東京都内の美術館で向こうのご家族とばったり会ったのが縁だとか。

 その時は嫁の母親とうちの姉が一緒にいて、携帯の番号を交換しただけなんです。ちらりとしか見ていないんですけど、かわいいなと思いました。初勝利した時に「おめでとう」と電話があったのがきっかけに会うようになって。年下ですが、色んな気遣いができてかなり大人です。義父にもよくして頂きました。

 ――昨年12月には長女(羽音ちゃん)も誕生しました。

 新たな気持ちでがんばれますよね。だから、12連勝できたというか。家に戻るとほとんど寝ていますが、寝顔がかわいいですね。

 ○近鉄で日本一に

 ――アテネ五輪の代表にも選ばれましたが、どんな気分ですか。

 すごくうれしいんですけど、プレッシャーもすごい。金メダルが当たり前のように期待されてますが、野球は何が起こるか分からないので、全力を尽くしてやるだけだと思います。

 ―― 一方でオリックスとの合併話が持ち上がって、色々大変なこともありますが。

 厳しい時期ですよね。でも、球団存続や2リーグ存続の署名活動をやっていると、今まで以上にファンを身近に感じながら野球ができて、やっぱり、ファンのおかげで野球ができるんだと、改めて実感しました。まだ、球団がなくなると決まったわけじゃないし、グラウンドで精いっぱいアピールしながら、ファンとともに戦っていくだけです。ぜひ近鉄で日本一になりたいです。

 ◇23歳の「大黒柱」、さらなる飛躍を

 〈後記〉 23歳の若さで、家族を支える大黒柱の自覚は立派です。奥様の言葉もコーチの教えも素直に耳を傾けられる姿勢があったからこその活躍でしょう。球界の貴公子から球史に残る大投手へ、さらなる飛躍を期待します。(舞の海)

*    *    *    *

 いわくま・ひさし 東京都出身。東京・堀越高卒。99年ドラフト5位で近鉄が指名。4年目の昨年15勝し、今季は開幕投手。189センチ、74キロ。右投げ。23歳。 (08/04 11:02)









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