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Lリーグをご存じだろうか。その名は知らなくても、9月中旬に「なでしこリーグ」という愛称がついた女性版Jリーグとでも言えば、ピンと来るだろうか。
1989年から始まり、今季からL1、L2の2部制が導入された。L1に8チーム、L2には6チームが参加している。今夏のアテネ五輪日本女子代表「なでしこジャパン」は多くの人に知られるようになったが、Lリーグの知名度は、とても代表レベルに達していない。
しかし、8強入りしたアテネ五輪効果で、確実に人気は上がった。例えば昨年の1試合平均の観客数は、412人だった。それが今年は第11節を終えた10月11日時点で703人と約1.7倍に。しかも五輪前の第7節(7月25日)までは平均667人だったのが、五輪後の9月以降は約100人増えて765人に上昇している。
特にエースの沢穂希(ほまれ)らを擁する日テレ・ベレーザ(東京)や、DF川上直子らが活躍するTASAKIペルーレ(兵庫)など、代表選手が多く所属するチームの試合は人気が高い。プロのJリーグと違い、入場料は無料。観客が2000人を超える試合も珍しくはなくなった。
Lリーグの事務局側も、追い風に乗って改革に取りかかった。今までファンや関係者から要望がありながら実現できていなかった、リーグの公式ホームページを7月に立ち上げた。
リーグ役員に加え、サッカー・ジャーナリスト、広告代理店スタッフらにも呼びかけてプロジェクトチームも作り、「広報・協賛活動」に対する提案や意見を活発に交わしているという。
五輪前、代表で主将を務める大部由美(YKK AP東北)は「シドニー五輪出場を逃したためにメディアに取り上げられず、女子サッカーを取り巻く環境は厳しくなった。今回の結果で、女子がサッカーをしながら生きる道を広げるか狭めるかが変わってくる」と語っていた。
確かに00年のシドニー五輪出場を逃した後、Lリーグの人気は急低下した。同年の観客平均は180人にまで落ち込み、出資企業の撤退、チーム解散などが続いた。
「自分たちが頑張らねば、先はない」。苦境を身をもって体験しただけに、女子サッカーの将来に対する責任と使命を感じるようになったのだろう。代表戦でなくても必死で戦った。アテネ五輪直前のリーグ戦でも代表同士が激しくぶつかりあい、負けたチームの選手は悔し涙を流すほどだった。
日本女子はアテネ五輪準々決勝で世界ランク2位の米国に1─2で敗れ、4強入りを逃した。代表選手のだれ1人として結果に満足はしていない。でもアジア予選から五輪本番を通して、彼女たちのひたむきさ、真剣さは日本中に広く、深く伝わったと言える。
それを証明することが9月30日にあった。L1のYKK AP東北女子サッカー部フラッパーズ(宮城)が来季からは、東京電力の女子サッカー部としてチームごと移行し、福島のJヴィレッジで練習を続けていくことが発表されたのだ。
東京電力にとっては「国内最高レベルに参加する初の運動部」という。男子でなく、そして他競技でなく、なぜ今、女子サッカーなのか。その問いに、東京電力は「五輪での女子代表の頑張りが、決断の大きな要素となった。ひたむきに頑張る女子選手を、職場の中から応援したらどうかという声があった」と答えている。
しかし「五輪効果」が長く続くとは限らない。金メダルを獲得し、女子サッカーの人気が高い米国でさえ、プロリーグ(WUSA)は休止に追い込まれている。選手やプレーに魅力を感じられなくなれば、目の肥えたサポーターたちは離れていく。レベルの高い海外サッカーが、簡単にテレビ観戦できる時代なのだ。来年以降、Lリーグは再び正念場を迎えることになるだろう。選手も組織も現況に甘んじることなく、常に前進することを忘れないでほしい。失敗を繰り返さないためにも。(原島 由美子)
(10/14 10:45)
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