現在位置:asahi.com>スポーツ>コラム>スポーツフロンティア〈第6部〉> 記事 マンガの力(番外編) ドカベンはメジャーに行けない2007年11月21日 「スポーツ漫画が変わった」という声がある。かつては野球が主流だったが、題材に取り上げられるスポーツも多彩になった。「ドカベン」などを手がけてきた水島新司さんは、今年で漫画家生活50年。自らの歩みを振り返りつつ、スポーツ漫画の今を語ってもらった。 「50年のうち40年は野球だけでやってきた。以前の野球漫画は、あえて言えば『巨人マンガ』。王、長嶋の人気に引っ張られたものだった。野球は個人でなく、9人のチームワークで勝つものだろう。僕はドカベンを通じて、チーム競技としての野球の楽しさ、痛快さを描きたいと思った」 「ドカベン」が始まってほどなく、巨人の連覇は9でストップし、長嶋茂雄が引退。高校野球では江川卓(作新学院)や定岡正二(鹿児島実)、荒木大輔(早稲田実)らが登場し、甲子園は毎年盛り上がった。 「ドカベンを読んで、野球は面白いという子が増えた。(主人公の)山田太郎にあこがれて捕手をやりたいという子も増えた。どれも、それまでなかった反響でした」 93年にJリーグが発足、サッカー人気が上昇する一方、プロ野球のテレビ視聴率は下降線をたどる。 「以前、僕はサッカーは野球人気に響かないと言っていた。両方のファン層は異なり、ファンを奪い合いはしないと感じたからです。でも、今になってみると、やっぱり影響している。野球漫画の人気も、それと無関係ではいられない」 プロ野球側の意識も変わり、牧歌的な雰囲気から、ビジネス色が強まった。選手の肖像権問題も90年代後半に浮上した。それまで「プロ野球界への貢献が大きい」と金銭の支払いを猶予されてきた水島さんも、ついに対象となった。 「僕の場合、40年も野球を描いていることを考慮してくれて、金額は抑えめになっているが、新規参入しようとしたら相当な金額になる。『ドカベン』だって、本当は山田太郎を大リーグに行かせたい。けれど、実際のメジャーの選手を登場させたら、多額の肖像権料を求められる可能性がある。だから山田をメジャーに行かせたくても、現状ではできない」 「球団が出版社に提案した企画をそのまま描くなら肖像権料は発生しない。でも、やっぱり漫画家は自由に描きたいものなんです」 子供のライフスタイルや気質は、大きく変わった。それがスポーツ漫画にも影を落とす。 「子供が外で遊ばなくなってしまった。遊びと言えば家の中でのゲームやパソコン。6歳になる僕の孫も、漫画雑誌なんて手に取らない」 人気作品が減少しているスポーツ漫画の未来はどうなるのか。 「スポーツを描ける人が減った。全身のいろんな動きがあり、複数の人物を交錯させるから描くのが難しい。でも、僕が新人なら、スポーツ漫画が少なくなったからこそ、好機と思って描きます。ビーチバレーでも何でも。ヒットして多くの人に読まれれば、それだけ影響を与えますよ」 PR情報 |
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