現在位置:asahi.com>スポーツ>コラム>舩越園子 素顔のプロたち> 記事 ![]() 息子の自閉症、父は語る2008年03月13日 2日のホンダ・クラシックで米ツアー16勝目でもある世界60勝目を挙げたばかりのアーニー・エルス(38)が、その翌週、「自閉症は語る」と書かれたロゴマークをゴルフバッグにつけて大会会場に現れた。
「実を言うと、5歳になった僕の息子のベンは自閉症なんだ」。それは、これまで一度も明かされたことのない事実の告白だった。 南アフリカ出身のエルスは94年と97年に全米オープンで優勝し、02年には幼いころからの夢だった全英オープンも制覇。同じ年には長男のベンが誕生した。そして03年、04年も次々に勝利を重ね、まさに幸福の絶頂だった。 そんな日々を襲ったのが、ベンが自閉症だという診断だった。「それまで僕は自閉症という障害について考えたこともなかった。それからは僕の人生も人生のプライオリティーも、すべてが変わった」 苦難は続けざまに起こるものなのだろうか。05年、エルスは家族旅行中にひざを負傷。手術を受けたものの、以後は米ツアー勝利から遠ざかり、その一方で妻のリーズルとともに、息子の障害に取り組んできた。 ホンダ・クラシックで挙げた3年半ぶりの優勝を弾みにして、エルスは公表に踏み切った。 エルスが相談している米国の「『自閉症は語る』協会」によれば、米国では150人に1人が自閉症と診断されている。日本自閉症協会によると、日本における自閉症児者数は一般的には約36万人と推定されている。広い意味での自閉症を含めると約120万人。ほぼ100人に1人の割合だという。 「自閉症」の文字を付したエルスのバッグを見て、ツアー仲間の一人が駆け寄り、自分の息子も自閉症だと言いに来たそうだ。「僕は息子の障害を告白することで世界の注目を集めたい。それが、この障害には必要なんだ。がんの治療法が見つかるのなら、自閉症の治療法だって、きっと見つかるはずだ」 だから僕は息子の自閉症を語る――。米メディアは翌日から大々的にエルスの決意を報じた。その場に居合わせたメディアの一人として私も彼の告白を日本に伝えよう。それが、彼が切望する「世界の注目」につながるはずだと思うから――。 (在米ゴルフジャーナリスト) PR情報 |
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