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一緒に戦うために 〜極! サポーター道(1)

2008年03月18日

 「格好ですぐわかりますよ」と事前に電話で教えてもらった通りだった。3月15日のホームズスタジアム神戸。川崎とのホーム初戦の開場を待つヴィッセルサポーターたちで賑わう中、目的の人は遠目にもわかった。

写真『90分間、休まない』が今年のテーマの竹田さんは、ひたすら右腕を振る
写真まだまだ数が少ないヴィッセルサポーター。タイガースに負けるな

 背番号「7」のユニホーム。「7」のマフラータオルを3本、腰のベルトに挟んで垂らし、帽子にも「7」が入っている。MF朴康造(パク・カンジョ)の熱烈サポーター、竹田剛敏さん(32)。よくよく見ると、左腕に巻いた黄色のキャンプンマークは朴康造の直筆サインが入っているが、上下逆さまだ。

 「去年の夏、練習試合で大久保が交代で退いて、カンジョがキャプテンマークを受け継いだ時があったんです。その時、上下反対に巻いていたんで」。細かいところまでなりきり、一緒に戦うという決意表明だ。靴も、朴康造のスパイクと同じ白の同じタイプ。ただし、「汚したくないので、これだけはスタジアムに入ってから履きます」

 竹田さんはこの格好で、自宅からホムスタに通う。それが自らのサポーター道としての第一のこだわりだ。他のクラブなら珍しいことではないが、ヴィッセルサポでは少数派だという。「神戸はおしゃれな街というイメージがあるせいか、ユニホームを着て歩くサポーターが少ない。恥ずかしいからか、現地で着替えるんです」

 最寄りの地下鉄御崎公園駅からホムスタに向かう人々の列をしばらく観察してみたが、ヴィッセルのクラブカラー、クリムゾンレッドのユニホーム姿は確かにほとんどいない!

 「片道1時間。電車の中や三宮の地下街で、自分もイタイ眼で見られているかもしれません。でも、それで、試合に行ってみようかなと周囲が少しでも思ってくれればいい。観客動員数を多くしたいんで、『いったる』と開き直ってます」。阪神タイガースにどうしても太刀打ちできないのか、昨年、ヴィッセルの平均観客数は12460人。J1で18クラブ中、16番目だった。そんな状況を打破すべく、陰の営業努力にいそしむ。

 神戸生まれの神戸育ち。化学系メーカーに勤める。183センチの長身で、芦屋南高校時代はサッカー部でGKだった。知人に誘われて地元ヴィッセルの試合を見たのが、2005年。古いサポーターではないが、ここからのはまり方は速かった。「一日10回はヴィッセルの歌を歌いますね。実は、仕事中も口ずさんでいます」

 はまった理由が、サイドMFを務めることが多い朴康造の存在。サッカーを始めた時、背が高いからと自動的にGKになったが、「縦への突破が好きで、本当は自分もサイドアタッカーをやりたかった。小柄で一生懸命に走っているカンジョの姿に自分を重ね合わせているのだと思います」と自己分析する。

 そんな竹田さんの第2のこだわりは「休まない」。これは今季からのテーマでもあるという。「試合中、右腕を振ったり、頭の上で手をたたいたりしながら応援歌を歌いますが、しんどいので去年は90分間のうち10分間はサボっていた。でも、今年は90分間、持続させる」。クラブが選手補強し、朴康造のポジション争いも激しい。「だから、今年は自分の精神性も、『応援する』から『ともに戦う』に変えたんです」。戦う以上、動きを止める時間は許されないというわけだ。

 開幕のアウエーのFC東京戦は、やっとのことで90分持ったそうだ。「試合が終わると二の腕が腫れてパンパン。後ろポケットから財布を取り出すのも大変だった。ほとんど一週間、痛みが残りました。自分でも『アホや』と思うけど、今日も覚悟しています」。そう言いながら、竹田さんはスタジアムに入っていった。

 試合は4―1の快勝だった。神戸の今季初勝利。川崎戦の勝利は11年ぶりだった。竹田さんも「完走」。この日も90分間、腕を振り、手をたたき続けることができた。「慣れたんでしょうか、筋肉痛もない。今日もやり切った感がいっぱいです」

 サッカーを取材をしていると、負けたチームの選手が不思議なほどさわやかな表情を見せることがある。それは大抵、「やることをやった」と、全力を尽くせた時だ。勝負の結果を超越した達成感。それは、竹田さんのサポーター道も同じなのだろう。(中小路徹)

     ◇

 朝日新聞のサッカー担当記者たちによるコラム「ありったけサッカー魂」は、隔週火曜日に更新いたします。サッカーに関する様々な思いや取材現場の空気をお伝えします。なお、更新の2回に1回は「極! サポーター道」と題し、各クラブのサポーターたちの思いをテーマにしたコラムを連載いたします。

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