
2008年4月17日
ブラント・スネデカー=ロイター
マスターズを制したのは28歳のトレバー・イメルマン。猛追が期待された32歳のタイガー・ウッズはイメルマンを一度たりとも脅かすことなく、2位に終わった。
王者ウッズより若いチャンピオンの誕生。パトロンたちの間から「世代交代」という言葉がささやかれた背景には、イメルマンとともに最終日最終組を回り、3位タイに甘んじたブラント・スネデカー(27)の存在があった。
表彰式でイメルマンがグリーンジャケットに袖を通していたころ、スネデカーはメディアセンター前の屋外インタビューエリアに呼ばれた。
しかし、込み上げた感情が涙に変わり、言葉に詰まった彼は無言で建物の陰へ。目の前にあったゴルフカートの屋根を右手の拳で何度もたたきながら、30分以上も涙を流し続けた。
その姿をひっそりと眺めながら、彼の悔し涙の本当の意味は何だろうと考えた。
悔いが残ったのは「決定的なホールになった」というアーメンコーナーの13番パー5だ。無理に2オンを狙い、ボールはあえなくクリークへ。前日と同じミスだった。優勝したイメルマンは着実に3打でグリーンをとらえ、バーディーを奪った。「僕もあんなふうにプレーできていれば、結果は違っていたはずだ」
03年の全米アマチュアパブリックリンクス選手権で優勝したスネデカーは04年のマスターズに初出場し、41位タイになった。プロ転向し、2軍ツアーを経て07年から米ツアー参戦。ルーキーイヤーに初優勝を挙げ、ツアー2年目の今年、4年ぶりにマグノリアレーンをくぐり抜けた。
「この4年間、あんなに必死に努力してきたのに、得られた結果はこんなものなのか……」
とめどない涙が地面に吸い込まれていくにつれ、スネデカーの心はどうにか落ち着いていった。「これも人生の一部。もう二度とこの地で、こんな涙で終わる日を迎えたくない」
涙の本当の意味は最後まで「わからない」と彼は答えた。しかし、彼の涙をあれほどたくさん吸い上げたオーガスタの魔女は、とことん意地悪ではないだろう。
「あの涙はこの日のためだったんだ」と感謝できる瞬間が、いつかきっと彼に到来すると信じたい。(在米ゴルフジャーナリスト)