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判官びいきがキモチイイ 〜極! サポーター道(3)

2008年5月13日

写真少数精鋭の大宮サポーター。浦和サポの家族間との『分裂』は当たり前だとか

 オレンジの人々に、聞いてみたいことがあった。

 4月30日。ガンバ大阪のホーム、万博記念競技場に乗り込んだ大宮アルディージャのサポーターたちはアウエーということもあり、100人程度だった。もっとも、大宮サポはホームゲームでも小粒感は否めない。浦和レッズとのさいたまダービーなどは大軍の地鳴りのような応援を相手に、懸命に声を張り上げなければならない。チームも、Jリーグとアジア王者をとって世界に打って出ようというビッグクラブに対し、毎年のようにぎりぎりでJ1残留を果たしてきた。同じさいたま市にありながら、大宮はクラブもサポーターも弱者である。

 そんな大宮のサポーター道の本質を知りたくて、ひたすら同じ問いかけをしてみた。「なぜ、レッズじゃなくて、アルディージャなんですか?」

 「ホームのNACK5スタジアム大宮は、自宅から自転車で5分のところにありますから」。会社員の福田明素(あきもと)さん(46歳)のきっかけは明快だった。J1昇格前年の04年、当時小学3年だった子どもとゴール裏で応援してみたところ、子どもに応援旗を持たせてくれるなど、サポーター全体のファミリー的な雰囲気も気に入った。

 ただ、実際に大宮をサポートしてみると、自分の存在を確かめられる充実感があった。「浦和ならサポーター1人は1万分の1の存在。でも、大宮なら千分の1になれる。強く大きな集団にいたら、ここまで熱くならなかったかもしれません」。都内の勤め先では、さいたま市民だからと無条件に「レッズが好きなんでしょ?」と聞かれ、思わず「ふざけるな!」と憤ってしまう。そんな境遇がまた血をたぎらせる。実は奥さんは浦和サポで、3人の子どもは2人が浦和、1人が大宮。さいたまダービーでは、家族5人が左右に分かれてスタジアムに入ることもある。ちなみに、「こういう家庭はさいたまでは多い」のだそうだ。

 「勝って当たり前の浦和より、勝って喜べる大宮の方が面白そうだと感じたから」と話すのは、会社員の堀内雄一さん(30歳)。初めてさいたまダービーを見にいったのが、05年7月9日。昇格初年の大宮が浦和を食った試合だ。消沈する真っ赤っかのスタンドで、大宮サポが乱舞する姿が心に残ったのが始まりだった。「勝った時の喜びが大きいからこそ、元気がもらえるような気がする。逆に常勝になると、負けた時にショックを受けるために試合を見るような感じなってしまう」。

 また、「選手とサポーターの距離が近いのが楽しい」とも言う。今年4月20日のさいたまダービー(0−0の引き分け)の後、地元のレストランで大宮のユニホームを着て食事をしていたら、ある外国人が自分の顔をのぞき込んできた。なんと、ブラジル人DFレアンドロだった。見知らぬ間柄なのに、サポーターだからと歩み寄ってきてくれたのだ。そして、一緒に写真を撮ってくれた。なお、堀内さんの家族の勢力図は、「母親と弟は浦和サポ。妻は大宮サポに取り込んだ。そして、父親は巨人(笑)」

 会社員の吉田文子(あやこ)さん(43歳)は、02年の日韓ワールドカップを機にサッカーをみるようになったが、自宅から近いのがやはり大宮だった。「九州出身なので、受け入れてもらえるか不安だったが、サポーターがアットホームなので良かった」。サッカーのルールに詳しくない段階から始めたので、J2にいたクラブと一緒にサポーターとしての自分が育っていく実感がもてた。

 とはいえ、根本的には少数派としての気持ちよさが吉田さんの奥底にあるようだ。実は、中学2年からプロレスファンで、インディープロレスの草分け的存在だったFMWのプチ追っかけをやっていた。しかし、FMWがテレビ放映を得て隆盛を極めた頃、冷めてしまったという。「だから、レッズと互角にやるようになったら、アルディージャからも離れていくかもしれないです」

 デザイナーの大島慶子さん(48歳)は大きなものの対抗軸という立ち位置が、もっとはっきりしている。「ワーッというのが嫌いなんです。巨大な勢力が肌に合わない。野球ならパ・リーグ。プレミアリーグも、マンチェスター・ユナイテッドではなく、マンチェスター・シティを応援してます」。Jリーグ発足当時は浦和を応援していた。最下位が続くなど、リーグのお荷物と言われた時代だ。「ダメダメなところが可愛くて好きだった。アルディージャも、J1残留瀬戸際のドキドキ感がたまらない。トップを争うチームになったらどうしようかな……」

 取材に協力してくれた人たちに限った話だが、どうやら大宮のサポーター道は、判官贔屓(びいき)の快感がチームへの愛情を高めていると見受けた。この日、ガンバ大阪に逆転勝ちするなど、今季の大宮はここまで4勝4敗4分けの9位と健闘している。サポーターには、ほどよい気持ちよさかもしれない。(中小路徹)

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 「ありったけサッカー魂」は、隔週火曜日に更新しています。

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