
2008年5月14日
子どもにレスリングを指導する高田延彦さん=恵原弘太郎撮影
元格闘家の高田延彦さん(46)と妻でタレントの向井亜紀さん(43)が、幼稚園児や小学生を対象にした格闘技の出張教室を各地で開いている。レスリングとボクシングに触れ合ってもらう「高田道場ダイヤモンドキッズカレッジ」(高田道場、朝日新聞社主催)だ。競技の普及だけでなく、人間形成も大きな目的に掲げている。
見よう見まねでタックルしたり、力いっぱいパンチを打ったり。4月20日、初めて首都圏を離れ、愛知県大府市の中京女子大で開いた9回目の教室は、200人の子どもたちが汗まみれになっていた。
高田さんや仲間の格闘家がタックルやパンチを教え、向井さんは司会で盛り上げた。北京五輪レスリング代表の吉田沙保里、池松和彦ら豪華なゲストも先生役を務めた。
格闘技道場を運営する高田さんが、子どもを相手に外に出向いて教えようと思ったのは強い問題意識からだった。
「道徳心や人間形成の土台になるのは自然や人との触れ合い、そして運動。昔は友達との取っ組み合いでそれらを自然と身につけたが、今は子どもが体を動かさなくなった」
06年9月から始まった教室は参加費無料。年6回のペースで開催し、最初30人だった参加者も徐々に増えた。
遊び感覚で体を思い切り使わせるのが特徴だ。先生の足についたテープをレスリングの動きで奪い取るなどゲーム性を重視している。
先生は子どもを姓ではなく名前で呼ぶなど、親しんでもらうための工夫は「素人」である向井さんの助言も参考になっている。一方で、先生と組み合う前には必ず握手をし、教室が終わると正座であいさつするなど礼儀を重んじてもいる。
子どもが格闘技に触れる機会はまだまだ少ない。教室は1日限りだが、五輪選手にタックルをし、本物のグローブでミットを打つ経験は貴重だ。
「アスリートを育てる意識はない。『楽しかった』『気持ちよかった』とか、何かを感じてほしい」と高田さん。将来は教室を発展させ、合宿や大会の開催という夢も抱いている。(広部憲太郎)