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〈ゴルフ〉素顔のプロたち

闇の中、笑顔で全力投球を

2009年1月8日

  • 筆者 舩越園子

 今週は開幕戦のメルセデス選手権。前年の優勝者が結集する大会だが、昨季4勝を挙げた王者タイガー・ウッズの姿はない。

 12月30日に33歳の誕生日を迎えたウッズは、どんな気持ちで年末年始を過ごしたのだろう。メジャー14勝、ツアー通算65勝。生涯獲得賞金82億円。栄誉も地位も経済面も何もかもが安泰のように思える。

 しかし、そんなウッズにだって不安や悩みはあるはずだ。昨年の全米オープンで91ホールの死闘を制したものの、その直後に左ひざの手術を受け、以後、ツアーはずっと欠場中だ。復帰後に、かつてのような最強プレーができる保証は、どこにもない。

 常に勝つことだけを目指し、勝つことだけを期待されてきた王者にとって、これほどつらい試練はない。ウッズの左ひざは突然の負傷ではなく、プロ転向したころから徐々に悪化し、小さな手術も繰り返してきた。だが、痛みで顔をゆがめるほどの窮状をメジャーの舞台で迎え、半年以上も復帰がかなわぬ試練が一気に襲いかかることは、彼自身にも予測できていなかった。

 一寸先は闇――突然の戦線離脱を余儀なくされたあの夏、ウッズは、そう感じたのだろうか。

 最近、未曽有の金融危機やその余波で職を失った労働者がたくさんいる。もちろんそうした人々と同列にはできないが、突然、自分の職を失うという喪失感をウッズも味わっているに違いない。

 幸い、ウッズは「闇」に陥っても、前向きな姿勢を崩さないでいられる。日頃はできない家族サービスや自身にとって三つ目となるコース設計に意欲を燃やしている。「初めての海沿いコースの設計だ。すごいことになるぞ」。彼が見せたのは明るい笑顔だった。

 本当は戦いたい。そんな本心を必死に抑えながら迎えたウッズの新年。本当はああしたい、こうしたいという気持ちを抑えざるを得なかった世界中の大勢の人々の新年。いろんな思いはあるだろうけれど、強く念じ続けていれば、いつかきっと願いはかなうと信じたい。

 今、できることに笑顔で全力投球しよう――ウッズからのそんなメッセージが、大陸の上空から聞こえてきた。(在米ゴルフジャーナリスト)

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