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2012年5月27日

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〈ゴルフ〉素顔のプロたち

地道な生き方に秘めた情熱

文:舩越園子

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写真:優勝を決めてガッツポーズするダフナー=AFP時事拡大優勝を決めてガッツポーズするダフナー=AFP時事

 ジェイソン・ダフナー(米)は、いつもリュックを背負って試合会場にやってきた。黒い地味なリュックがメタボ体形の背中にダラリと垂れ下がり、無表情でとぼとぼ歩く姿に華はない。小学生がランドセルを背負って毎日、学校に通うように、彼は毎週、興奮も落胆もせず淡々と試合会場へ。そんなふうに見えた。

 ゴルフクラブを握ったのは15歳。遅いスタートだったが、1998年全米パブリックリンクス選手権では決勝マッチへ進出。しかし、結果は敗北だった。

 大学卒業後、2000年にプロ転向。2軍ツアーの出場権すらつかめず、毎週、2軍のマンデー予選に挑んだ。3年間の2軍生活を経て04年から米ツアー参戦開始。が、ずっと未勝利。名前も存在も知られず、注目を浴びることもない。それでも彼は毎週、リュックを背負ってやってきた。

 あるとき、2軍時代からの親友、今田竜二がこんなことを言ってきた。「あいつ、優勝するためなら、すべてを失ってもいいって言うんですよ。すごいですよね」。ひょうひょうとしたダフナーの胸の中の熱さに、今田も私も衝撃を受けた。

 昨年、フェニックス・オープンでプレーオフに敗れ、単独首位で最終日を迎えた全米プロでもプレーオフに敗れた。3日目の夜、偶然出くわしたステーキハウスで激励の声をかけると「ありがとう」の一言。翌日、惜敗後の彼に再び声をかけたら、前日と同じように「ありがとう」の一言。だが、右手を差し出した彼の目は悔し涙でぬれていた。

 そして今年。チューリヒ・クラシックで164試合目にして初優勝。翌週に結婚。その翌々週のバイロン・ネルソン選手権で再び勝利。フェデックスカップランクでは一気に1位へ浮上し、時の人と化した。

 どちらの優勝時も、見せたガッツポーズは、ほんの一瞬。「勝つか負けるかの差は、細い細い線みたいなものだから」

 クラブを握って20年。細い一線を35歳で初めて踏み越えたダフナーは「わずか22日の間に2勝と結婚なんて……」と喜びつつも、祝勝会は新妻と2人で「ほんの少し祝うだけ」。そして翌週から、彼はまたリュックを背負い、試合会場にやってくる。

 そんな戦い方、生き方ができるところが、ダフナーの強さ、熱さだ。(在米ゴルフジャーナリスト)

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