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2012年6月24日

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〈ゴルフ〉素顔のプロたち

北アイルランド魂 敗れて潔し

文:舩越園子

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写真:歓声に応えながら、最終日の18番グリーンに向かうマクダウエル=AP拡大歓声に応えながら、最終日の18番グリーンに向かうマクダウエル=AP

 「このクラブの裏ネームを知っているかい?」

 全米オープン会場で北アイルランドの記者が問いかけてきた。「アイルランドのIとイタリアのIを取ってI&I。19世紀に両国から入植してきた人々の子孫がこの一帯には大勢住んでいる。このオリンピック・クラブのメンバーもアイルランド系やイタリア系のアメリカ人が多い。だからI&Iと呼ばれているんだ」

 そんな裏話を知って、なるほどとうなずけた。全米オープンは米国のナショナルオープン。会場を訪れる人々は米国人選手の勝利を望むはず。それなのに英・北アイルランドからやってきたグレーム・マクダウエルを応援する「Gマック!」の歓声がコース中で木霊していた理由は、100年、いや150年超の歴史と深いつながりがあった。

 マクダウエル自身もこの地に漂う母国の魂を感じ取っていた。「熱い拍手や歓声をもらうと、母国の黒ビールで乾杯しようぜって呼びかけられているような錯覚に陥る」

 3日目にマクダウエルが首位に立つと地元ファンの興奮は頂点に達した。だが、彼はきわめて冷静に翌日を見つめていた。「ミスは必ずおかす。でも僕はできる限り無感情でプレーする」

 けれど、白く冷たい霧に覆われたサンデーアフタヌーンに感情は高まるばかりだった。フェアウエーをわずかに外し、「30センチの狂いがボールコントロールを阻んだ」。左から右へ曲がるホール形状に合わせ、ボールを右に飛ばすカット打ちで攻め続けた。だが、「カット! カット!」を呪文のように唱え続けたせいで、「左に曲げたりストレートに打ったりすることが、肝心な時にできなくなっていた」。

 2010年大会に続く2度目の優勝を狙い、必死になればなるほど心とボールのコントロールを失い、72ホール目のバーディーパットを外した瞬間、マクダウエルは敗北した。

 「苦しい戦いだった。でも終わってみれば、楽しかった、また挑戦したいと思える。2年前の優勝は初体験。今年の惜敗は新体験。勝っても負けても今夜は近くのパブに行こうと決めていた」

 爽やかな笑顔と潔さは彼ならではの「Gマック魂」。サンデーナイトのパブに集まった人々は、黒ビールを片手に、こう叫んだに違いない。「我らがグッドルーザーに乾杯!」(在米ゴルフジャーナリスト)

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