米女子ツアーのアーカンソー選手権を制し、今季2勝目、通算9勝目を挙げた宮里藍は「ジャスト・ゴルフ」と言った。
米男子ツアーのAT&Tナショナルを制し、今季3勝目、通算74勝目を挙げたタイガー・ウッズ(米)は「ウエルカム・トゥ・ゴルフ」と言った。
2人の勝者の言葉を、意味合いをくんで和訳すれば、どちらも「それが、ゴルフ」になる。
最終日の混戦を頭一つ抜け出し、単独首位で先にホールアウトした宮里。プレーオフに備えることも後続組のプレーを見ることもなく、彼女は笑顔でファンと交流していた。1打差で追っていた宮里美香が18番でバーディーパットを外し、自身の勝利が決まった瞬間でさえ、彼女はファンと記念撮影中。関係者から勝利を知らされ、やっと万歳ポーズで喜んだ。
「何も期待を抱かず、リラックスしてペースを守り、ベストを尽くしただけ。だって、それがゴルフだから」。いわば、無欲の勝利だった。
逆にウッズの優勝は狙ってとった貪欲(どんよく)の勝利だった。大混戦はやがてウッズとボー・バン・ペルト(米)との一騎打ちへ。上がり3ホールで苦しみながら崩れていくバン・ペルトをはた目に、ウッズはさえ渡るゴルフで勝利をつかみ取った。「もう二度と勝てないって、みんなから言われていたのは、ほんの6カ月前のことだよね?」
周囲から「オーラが無くなった」「新コーチによるスイング改造は誤り」と批判されていた当時も、ウッズは復活へのジグソーパズルの完成を固く信じていた。
「ピースが集まって来るのが見えていた。時間の問題だと割り切り、毎日、全力を尽くした。だけど人間だから、みんなよりうまく打てる日もあれば、そうはいかない日もある。それがゴルフというものだ」
宮里は無欲の勝利。ウッズは狙った勝利。優勝へのアプローチの仕方は異なるが、どちらも心の底には勝ちたいという渇望を秘めている。
けれど、人生に浮き沈みがあるようにゴルフにも浮き沈みがあることを熟知している2人は、はやる心をいつ出し、いつ抑えるべきか、そのコントロールの仕方を知っているのだろう。
それが、勝ち方。それが、ゴルフ。勝者たちの言葉だからこそ、なるほどとうなずかされた。(在米ゴルフジャーナリスト)