前半、浦和・坪井(左)と鈴木に囲まれながらも中盤でボールをキープする川崎・ビトールジュニオール=杉本康弘撮影
(21日、川崎3―1浦和)
1得点1アシスト。公称167センチの川崎の新外国人MFビトールジュニオールが大きな存在感を示した。
1日にサントスFC(ブラジル)から移籍し、最初の試合。トップ下で先発した。1点を追う前半27分、ゴール前に低く柔らかなパスを送り、味方のヘディングシュートを演出した。後半23分には、ゴール前の混戦で、いつの間にかフリーになる。左からのクロスを簡単に頭で合わせ、ダメを押した。「公式戦は3カ月ぶりだが、(試合勘の無さは)気持ちで乗り越えた」
神出鬼没で意外性がある。人が密集した場所に意表を突くパスを出すかと思えば、ドリブルで左右に流れて敵を引きつける。守備はさぼらず勤勉だ。
1月にMFマギヌンが名古屋に移ると、その後はトップ下の選手を固定出来なかった。前線の起点を欠いたチームは接戦に弱く、上昇気流に乗れなかった。それだけに高畠監督は「うちにマッチしている。期待通り」と喜んだ。
貧困の中で育ったブラジル出身の21歳は「親、兄弟には不自由のない暮らしをさせたい」。18歳でプロデビューし、すぐに活躍の場を求めてクロアチア、スロベニアを渡り歩いた。「サッカー選手として一人前になるために、人生経験が果たす役割は大きい」。わがままで奔放な振る舞いの末にチームを去ったFWフッキ(現東京ヴ)とは対照的だ。後半戦の好スタートを切ると同時に、川崎に攻撃の核が誕生した。(有田憲一)