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キリンカップ、6月1日から オシム流、“中間テスト”

2007年05月29日13時44分

 サッカーのキリンカップは、日本、モンテネグロ、コロンビアの各代表チームが参加して6月1日に開幕する。日本にとって、3連覇のかかるアジアカップ(7月)を前にした最後の国際試合だ。昨夏のオシム監督就任からほぼ1年と、チームづくりは節目を迎える。何色ものビブス(ゼッケン)を駆使した練習風景の変化や、監督の選手起用から代表の進化を探った。

写真鋭い視線を選手に注ぐオシム監督(中央)

■臨機応変「ルール破り」浸透

 活動日程が制約される代表だが、オシム監督はJリーグのすき間を縫うように練習合宿を積み重ね、選手の呼吸を合わせようとしてきた。今年3度目となった14〜16日の練習合宿で、チーム発足時からの変化をはっきり示す場面があった。

 まず2人でパスをつないで攻め上がる。そして機を見て3人目が飛び出し、連係してシュートに持ち込む練習。「ルール破り」となる4人目の攻撃参加をうかがう選手が続けて見られた。

 臨機応変さを求める監督は、自主的なルール破りを歓迎する。昨夏、そんな動きを見せたのは、オシム監督に鍛え上げられた古巣・千葉勢だけだった。07年の始動となった2月合宿では闘莉王(浦和)ら主力も千葉勢に同調し、オシム監督に「ブラボー」と叫ばせた。いま、ルール破りには賛辞も、選手の驚きのまなざしも向けられない。オシム流が「日常」になりつつある証しだ。

 代表のサッカーを語る選手の言葉は「考える」「走る」から、より具体的になってきている。「数的優位を生かしてシンプルにやろう、というのが基本にある」と遠藤(ガ大阪)。橋本(同)は「流動的な動きが歓迎されるのは、攻守とも効率を重視しているから」。細かい説明がされない練習の意図を、それぞれが解釈し、発展させようとしている。

 4月合宿の紅白戦は象徴的だった。一方は単色ビブス、もう一方はDF、MF、FWで分けられた3色のビブス。オシム監督は、単色チームに「相手の出方に対応しろ」と指示した。

 試合途中に3色チームの1人がビブスを着替え、2トップから1トップに布陣変更したのが合図になった。マークの付き方を変えろ。1トップなら4バックで対応できるぞ。相手が2トップに変えてきたから3バックにしよう……。コーチ陣の指示を待たず、両チームとも布陣を目まぐるしく変えた。阿部(浦和)は「相手が情報通りに来るとは限らないから、自分たちで流れに対応しないと。いつものことです」と涼しい顔だった。

 ミーティングの光景も変わってきた様子。当初は「どんどん質問してくれ」とオシム監督が投げかけ、闘莉王が口火を切り、監督が切り返すのが定番だった。最近は、監督がミーティングに姿を現さないことが多いという。対戦相手の映像を見ながら、選手が議論を深める形。ある主力選手は「監督からあれこれ言われるよりいい。少しは信頼し始めてくれたのかな、とも思う」と語っていた。

■選手起用 国内組軸に海外組受け入れ

 「最終目標は10年ワールドカップ」と言いながら、オシム監督はこの夏に向けて準備を進めてきた。初めて結果を問われる大会、7月のアジアカップ。そこに向けた最終チェックの場となるキリンカップ。逆算してチームづくりは運ばれてきた。

 若手や代表未経験者を抜擢(ばってき)する選考は新鮮な印象を与えるが、肝の部分は堅実そのものだ。

 「コアグループ(中心選手)は、もう固まっている」と監督はよく口にする。過去8試合を見れば、明らかだ。川口(磐田)と鈴木(浦和)が全試合に先発。駒野(広島)、阿部(千葉→浦和)、三都主(浦和→ザルツブルク)、巻(千葉)は7試合、闘莉王(浦和)は6試合、加地と遠藤(ともにガ大阪)は5試合に先発した。「まずクラブの定位置取りに専念させる」(オシム監督)という、海外組に転じた三都主を除く8人がコアグループにあたる。

 彼らを軸に、国内組だけで昨年7試合をまっとうした。布陣を見ると、最終ライン、中盤といった各ブロックを浦和など同じクラブの選手で固める傾向がわかる。「所属クラブの関係を代表に持ち込むことは望ましい」。生命線の連係を練り上げてチームの骨格をつくった。

 そして今年。3月のペルー戦で中村俊(セルティック)と高原(フランクフルト)を初招集した。「チームの基盤は僕ら」(鈴木)と国内組がある程度の自信を得たところで、海外組の個性の受け入れに手をつけた。最近は主力の負傷に備えた控えの見極め、手薄な左サイドの人材発掘をテーマに掲げる。チームづくりは細部に移行中だ。

 「監督が発信するメッセージを感じ取ってプレーできるよう、常に心がけている」(佐藤寿=広島)という選手は、独特の流儀を自分たちのものにしつつある。07年夏。オシム監督の日本代表、第1期の集大成を迎える。

     *

〈大会日程〉

 6月1日午後7時10分 日本―モンテネグロ(静岡・エコパスタジアム)

   3日午後1時15分 モンテネグロ―コロンビア(長野・松本平広域公園総合球技場)

   5日午後7時20分 日本―コロンビア(埼玉スタジアム)

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