2005年03月31日15時03分のアサヒ・コム第77回選抜高校野球大会

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【愛知】名電磐石 好走塁で波つかむ

2005年03月31日

 第77回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)に出場中の愛工大名電は30日、宇部商(山口)と対戦。2−0で完封勝ちし、2年連続ベスト8入りを果たした。主戦斉賀は2試合連続の完封。名電は第9日の第2試合(1日午後1時半試合開始予定)で、天理(奈良)と対戦する。一方、東邦は31日、第1試合(午前9時半開始予定)で東海大相模(神奈川)とベスト8入りをかけて戦う。

    ◇

 愛工大名電は4回2死、堂上が左翼線への二塁打で出塁。続く小島の中前安打で堂上が生還し先制した。6回1死三塁では、三塁走者柴田が内野ゴロの間に生還し、1点を追加した。主戦斉賀は変化球を低めに集め、15アウトが内野ゴロ。初戦に続く完封勝利を飾った。5回と7回には、安打を打たれた後に牽制(けんせい)で走者を刺すなど好機をつみ取った。8回にも先頭打者を四球で出したが、落ち着いて後続を断ち、三塁を踏ませなかった。

 宇部商は、終盤に毎回走者を出したものの打線が沈黙、続かなかった。主戦好永は持ち味の変化球を丁寧に投げ、最後まで崩れなかった。

    ◇

一瞬のスキ、逃さず本塁へ 主将・柴田亮輔君

 「走ってはこないだろう」。宇部商の二塁手山野光輝君は、そう判断した。

 6回1死三塁。名電は三塁に主将柴田亮輔君を置いて、堂上直倫君が二塁正面にゴロ。山野君は前進守備でバックホーム態勢だった。目で柴田君を制し、落ち着いて一塁に投げた。その瞬間だった。

 走った。

 前進守備の二塁手の正面にゴロが飛ぶと、走者はスタートを自重するのが一般的だ。しかし、柴田君は「自分の足なら行けると思った」。迷わず頭から突っ込み、捕手のタッチをかいくぐって本塁ベースに指先で触れた。貴重な追加点だった。

 ベース1周14秒02。ベースランニングならチーム一の俊足の持ち主だ。しかし、行けるとの判断は、足の速さだけではない。二塁手の動きを注視していたからだ。

 打った瞬間にスタートを切るのは無理。しかし、堂上君の打球を捕球した二塁手の山野君と目があった瞬間、ちょっとしたスキを見抜いた。三塁に投げるような体勢ではない。「セオリー通り、目の牽制(けんせい)だけだ」。同じ内野手として、相手の気持ちを冷静に考えながら、少しずつ本塁へ体重を移動した。あくまで、三塁に送球されても帰塁できる位置で。

 山野君が一塁手の方を向いた瞬間、低い姿勢で躊躇(ちゅうちょ)せずにスタート、本塁を突いた。「三塁に一度投げるふりをされたら、きつかったかも」。試合後、柴田君が振り返るように、微妙なタイミングだった。

 ノーサイン。ベンチで見ていた倉野光生監督も「柴田も乗っているし、もしかしたらとの思いもよぎったが、まさかね」と目を細める。この打席の出塁は、左前へのテキサスヒットを足で稼いで二塁打にしていた。

 昨春は三塁手で決勝までの5試合にフル出場。2盗塁、5犠打を決めた。新チームで主将になっても昨秋の公式戦20試合で13犠打、14盗塁と波に乗り、今やバントと足を絡めた「名電野球」の象徴に。

 柴田君はいう。「打撃は水物。ヒットが打てなくても点を取れる攻撃をする。それが相手には一番のダメージになる」。甲子園での勝ち方を知っている。


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