第77回選抜高校野球大会(日本高野連など主催) 第8日の31日、西条は第2試合で沖縄尚学(沖縄) と対戦。投手陣が沖縄尚学の強力打線に6点を奪われる苦しい展開となったが、守りからリズムをつかんだ西条は終盤、1点を返し意地を見せた。20年ぶりの8強進出はならなかったが、選手からは「自分たちの課題が見えた」 の声も。西条は、早くも夏を見据えている。
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先発、津島は1回戦で完投した際の疲れがとれていなかった。1球投げるたび、腰や背中に鈍い痛みが走った。制球が定まらず、真ん中に入った直球を沖縄尚学打線に狙い打ちされた。5回を終えた時、八木監督は「もう限界」 と判断。戸田、津島、宮崎と3人いる投手陣の中で、宮崎をマウンドに送った。
宮崎は昨年の春まではエースナンバーをつけていた。だが、夏の県大会で速球派として台頭してきた戸田に主戦の座を譲った。秋の県大会、四国大会では一度も出番がなかった。チームの勝利とは裏腹に、心の中に悔しさが残った。
八木監督が宮崎を指名したのは、3月の練習試合で完投するなど、投球が安定していたためだ。その期待通り宮崎は変化球を低めに集め、3回を3安打1失点に抑えた。「交代して津島を楽にしてあげたかった」。 チームの一員として役目を果たせたことが何よりうれしかった。
粘りの打線も沖縄尚学の好守に、苦しんでいた。7回1死一、二塁で打者は塩野。沖縄尚学の主戦・前嵩の牽制(けんせい) 球で二塁走者が刺された。その後、塩野は右前に打ち返したが、野手の好返球で、三塁を狙った一塁走者田口が刺殺。好機は一瞬でついえた。八木監督は「相手の好守もあったが、こちらの詰めが甘かった」 と振り返る。
だが、西条は終盤に意地を見せた。6点差で迎えた8回、「先輩たちのために絶対打とう」 と誓い打席に入った2年生の加地が右中間に三塁打を放った。
次打者は昨秋の公式戦で打率4割3分の野村。だが、大会前は不調が続き、フライを上げないよう、球をたたきつけるようにバットを素振りする毎日が続いた。
前嵩の3球目、野村が打ち返した球は右前へ。加地は貴重なホームを踏んだ。八木監督は普段の練習で、走者の進塁を考えて右打ちするよう指導してきた。日頃の練習の成果が、ここ一番で生きた。
好機に打てなかった主将の越智竜には、悔いが残る大会だった。だが、「甲子園は最高の場所だった。今日のようなミスをなくして、夏にもう一度来たい」。 そう語る口調は力強かった。
◇応援団2000人 声を限りに
リードを許しながら、終盤に意地を見せた西条。ベスト8進出はならなかったが、西条の三塁側応援席からは、「夏にまた来るぞ」 の声が選手たちにかけられた。
春らしい陽気に包まれた甲子園球場。三塁側スタンドの後方には、西条の勝利を信じて「必勝! 夢・感動、今ここに」の横断幕が張られた。西条市からバスで駆け付けた生徒を含め、約2千人の応援団がスタンドを埋めた。
1回戦の応援で声がかれたという応援団長の渡辺裕城さん(17) は「選手が頑張っているんだから僕も頑張らないと」 と気合を入れた。
1回裏、津島卓也投手が4安打を浴び、いきなり3点のリードを許す。津島投手の父和宏さん(42) は「1回戦の疲れが残っているのかもしれない」 と心配そうに見守った。
その後も沖縄尚学は得点を重ねるが、西条にはなかなか安打が出ない。吹奏楽部員としてドラムとシンバルを担当する小野友香さん(17) は「絶対逆転してくれます」 と演奏に力を込めた。
8回表、9番加地毅至選手が右中間に三塁打を放つと、スタンドは総立ちに。続く1番野村嘉範選手の適時打で1点を返すと、生徒らは「よっしゃー」 「このまま逆転だ」 と叫び、喜びを爆発させた。
5点を追う9回表。逆転を信じて声を振り絞る生徒らに、2死から田口晶貴選手、塩野竜也選手が連続安打で応えた。試合には敗れたが、最後まであきらめないプレーに惜しみない拍手が送られた。
野球部マネジャーの徳増美穂さん(17) は「本当にお疲れ様。夏もう一度一緒に来ようね」 と選手をねぎらった。