2009年11月16日10時54分
先頭集団を引っ張る嶋原清子(11)。左端はインガ・アビトワ(ロシア)=竹谷俊之撮影
左手に横浜スタジアム、左斜め前に2位のヌデレバ。36キロ付近、じりじりと差をつめる嶋原の腕と足はしっかり動いていた。「決してあきらめていなかった」。29キロ過ぎに先頭から遅れても、しぶとさが身上の32歳の心は、これっぽっちも折れていなかった。
39キロ過ぎ、ヌデレバを引き離すと、もう振り返らない。「必死に走って抜かれたら仕方ない」。自分の力を信じたその先に、日本人1位のゴールが待っていた。過去16戦で3位以内が10回。安定感は健在だった。
ただ、ゴール後、素直に喜べない自分がいた。「一番を狙っていたので」。初代女王に名を刻めなかったからだ。
前半、5キロの所要タイムが17分後半から18分を超えるスローペースにいらだち、先頭で引っ張った。だが、風よけにされ、疲弊した。前日、川越監督から「30キロで切り替えられるか」と言われていたのに、逆に仕掛けられ、ついていく足が残っていなかった。
戦略ミス。でも、勝てなくて悔やむのは力がついてきたからこそ。長年の筋力トレーニングで体の軸がぶれなくなった。体重管理もできるようになった。今夏に自己記録を1分以上縮めた。川越監督は言う。「数年前まで『五輪、世界選手権に出るのはいい。後輩に譲りたい』と言っていたのに、今は意識している」
スピードの切り替えという課題が残った。でも、地道に努力を重ね、力を伸ばしてきた。克服できると信じて、これからも走り続ける。(小田邦彦)
しまはら・きよこ 76年、山口県生まれ。国士大、資生堂を経て、07年4月からクラブチームのセカンドウィンドACに所属。06年アジア大会銀メダル、07年大阪世界選手権6位。自己最高は2時間25分10秒。154センチ、43キロ。
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