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世界陸上競技選手権大阪大会

土佐選手、夫と並走 つかんだ銅 世界陸上女子マラソン

2007年09月03日00時05分

 苦しい時間を「2人」で乗り越えてつかんだメダルだった。2日、大阪市で開催された世界陸上選手権女子マラソンで、土佐礼子選手(31)=三井住友海上=が銅メダルに輝き、来年の北京五輪代表に内定した。夫の村井啓一さん(33)に支えられ、2大会連続の五輪代表の座を勝ち取った。

写真レースを終え、夫の村井さん(左端)とハイタッチを交わす土佐選手=2日、大阪・長居陸上競技場で
写真表彰式で銅メダルを胸にした土佐=2日、大阪・長居陸上競技場で

 大会2週間前、合宿先の中国にいた妻は、愛媛・松山にいる夫にだけ打ち明けた。「このレースで北京五輪につながらなかったら、私、もう引退する――」

 松山大陸上部のチームメートだった2人は、04年12月に結婚。以来、東京と松山で別れて暮らす。毎日、電話やメールで連絡をとりあうが、妻が夫に「引退」を口にしたのは初めてだった。

 五輪代表内定条件は「メダルをとって日本人トップ」。この世界選手権で内定を手にしないと、秋以降の選考会に再挑戦しなければいけない。五輪までの調整を考えると、夫婦で誓った「北京五輪でメダル」の目標へ向けて厳しい状況に立たされる。

 「北京に懸ける気持ちが強かった。だから何が何でも大阪でメダル、と礼子は自分を追い込んだ」。夫はそう察した。

 38キロ過ぎ。4、5番手に落ちた土佐選手が粘る。夫は40キロ付近の沿道で1キロほど並走しながら叫び続けたが、「何を叫んだか覚えていない」。妻は夫の姿に気づいていた。「めずらしくいいところにいてくれた」。汗だくの夫の横で3位に盛り返していた。

 7月末、土佐選手は中国合宿で転倒し左ひざが腫れた。午前2時、「もうダメかもしれない」という泣きながらの電話を啓一さんは受けた。「あんな弱音を聞いたのは初めてだったけど、よく立ち直ってくれた」

 五輪、世界選手権を通して陸上では、既婚女性の日本選手が初めてメダルを獲得した。「お疲れー」「きつかったー」。パートナーの温かい手に触れたミセスメダリストに、優しい笑みが広がった。

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