現在位置:asahi.com>スポーツ>一般スポーツ>世界陸上競技選手権大阪大会> 記事 ![]() 16年を経て 世界陸上(3) 進むプロ化、厳しい底辺2007年08月05日17時43分 有森裕子は熱い口調で振り返った。「日本でもようやく陸上競技が選手の生活と結びつくスタイルが出てきた。自分のためにやってきたプロ化への道が人のためになったんだな、と今は思う」
96年アトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した後、「プロ宣言」してCM出演などタレント活動を始めた。当時、選手の肖像権の管理は日本オリンピック委員会がしていたが、それを選手ができる道を作った。陸上界のみならず日本のスポーツ界にとって大きな転換期になった。 その道筋を今、女子マラソンの高橋尚子(ファイテン)や男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)、同400メートル障害の為末大(APF)らがたどっている。とはいえ、メディアなどの露出の多い長距離や、一部のエリート選手を除けば競技を続ける環境は厳しい。 91年世界選手権東京大会以後、大京、大昭和製紙、ダイエー、神戸製鋼、NECなど強豪チームが親会社の業績不振のあおりを受けて次々に廃部や休部になった。今回の大阪大会の代表の中でも、女子マラソンの橋本康子(セガサミー)、同3000メートル障害の早狩実紀(京都光華AC)は、それぞれ日本生命、三和銀行の陸上部の活動停止で所属先を変えている。 日本陸連は05年度からスポーツ活動支援制度を導入した。世界選手権や五輪で活躍する競技力がありながら、就職先が見つからず練習環境に恵まれない20歳以上の選手に年間240万円を支給する。今回代表入りした男子走り高跳びの醍醐直幸(富士通)、同走り幅跳びの荒川大輔(大阪陸協)は対象者だ。 女子3000メートル障害代表の辰巳悦加(よしか)(和光アスリートク)は失業給付金を受けている。今年3月末に上野敬裕監督とともに3年間所属したスターツを退社。上野監督は会社四季報をめくり、業績のいい100社ほどにスポンサー契約を持ちかけたが、まとまっていない。8月で給付金が切れる辰巳は「アルバイトをしようと思っているんですが……」。 企業チームだけではなく最近はクラブチームもあり、競技を続ける環境の選択肢は増えたが、「陸上はもともと稼げる競技じゃない」と有森。「それでも、はい上がるためには勝つしかない」と開拓者は檄(げき)を飛ばす。(敬称略) 世界陸上競技選手権大阪大会
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