柏崎克彦さん
モスクワ五輪代表を勝ち取りながら、日本が参加をボイコットしたため、出場できなかった柔道選手6人がモスクワにある当時の五輪競技場を訪れる。一行は95キロ超級代表だった山下泰裕・東海大教授(50)らで、10日に日本を出発した。当時の旧ソ連代表選手とも対面し、一緒に平和の大切さを訴える。
国際武道大(千葉県勝浦市)で昨年、特別講座「『オリンピックを考える』〜スポーツと国際政治を考える〜」が開かれた。このとき、65キロ級だった柏崎克彦教授(56)がモスクワ五輪に出場できない無念さに泣き、一人屋台で「五輪は人類に必要なのか」と自問した体験を語った。
柏崎さんによると、日本が旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して不参加を決めたのは、最終選考会前日だった。「泣く権利を得るために選考会に出た」と学生に語りかけた。柏崎さんは31歳で現役を退き、五輪への夢は消えた。
昨年末、中国・青島の友好柔道館開きに招かれた際、柏崎さんが同席した山下さんに授業の話をすると、山下さんがロシア側との話を進めた。モスクワでは100人を超すロシア人指導者に実技、指導法を教授する。
柏崎さんは「平和であってこそのスポーツ。不幸が繰り返されないよう柔道を通して訴えたい」と話している。