(11日、第18回仙台国際ハーフマラソン)
ゴール後、野口は、すぐに振り返ってモンビ(アルゼ)との差を確かめた。6秒差。野口の進化はそこにある。
影のようにくっつくケニア選手を振り切ったのは残り1キロ。「何とかここで勝負をつけないといけない」というスパートだったが、表情は変わらない。車でいえば、すっとトップギアに入るような滑らかな切り替え。「ラスト1キロまで並走するのは今までにないパターンで怖かった。でも五輪に向けていいシミュレーションになりました」
昨年の記録を29秒上回った。「5キロごとのタイムがいいのにびっくり。速いのにきつくないんです」。持ち味の腕振りがさらに力強くなった。ぴょんぴょん跳ぶような走法は影を潜め、ひたすら前へ前へ進んでいく。
今年になって欠場が続いた。2月の熊日30キロはスピード練習で体が動かずに見送り。原因不明の発疹で3月の全日本実業団ハーフマラソンも走れなかった。「レース感覚を忘れて不安があった」。直前の菅平合宿も天候が悪く、予定の練習はこなせていない。それでも29歳最後のロードレースを優勝で締めた。
30歳最初のレースが北京五輪になる。「いい印象を持って本格的なマラソン練習に入れる。北京へ弾みになりました」。自信に満ちた笑顔だった。(堀川貴弘)