「ええぞ!」「続いてや」。19日の準決勝第1試合、光星学院(青森)の応援スタンドから大阪弁が飛び出す。ベンチメンバー18人中10人が大阪育ちのチーム。親たちが北国に送り出した息子たちは、大舞台の主役として戻ってきた。この日も快勝し、東北初の優勝をかけて決勝を戦う。
三塁側アルプス席には光星野球部の父母の会関西支部の約150人が陣取った。息子たちの多くは大阪の少年野球チーム出身で、光星に進学した先輩に続いて親元を離れ、みちのくに飛んだ。
1回、先頭打者の打球は一塁を襲った。一塁手の金山洸昂(ひろたか)君(3年)が落ち着いてさばくと、母昌美(よしみ)さん(48)は拍手して息子をたたえた。「立派。しっかり守ってる」
中学時代はやんちゃだった。学校に行かない日もあった。何を言っても「うざい」。取っ組み合いのけんかはしょっちゅうだった。
光星に入って、息子は変わった。今春に出場した選抜大会の前、「新聞見て」と電話があった。ネットで記事検索すると「お母さん、今まで支えてくれてありがとう」とあった。「俺はいままで居場所が見つからなかった。光星では結果を残せば居場所がある」。涙が止まらなかった。
中学時代も金山君のチームメートだったエース秋田教良(のりよし)君(3年)は、強打の作新学院(栃木)打線を完封した。
東日本大震災では、学校のある青森県八戸市も被災した。父久和さん(51)には、息子は青森への愛着が一段と強まったように思える。地元のスーパーに買い物に行くと、「がんばってね」「期待してるよ」と声がかかる。その度に、息子は立ち止まって「ありがとうございます」と頭を下げていた。