|
ポルトガルで開かれた第3回世界ろう者水泳選手権(8月6〜13日)で、佐賀県立唐津商業高校3年の金持(かなじ)義和さん(17)=同県唐津市=が、背泳ぎの100メートルと200メートルで優勝した。日本ろう者水泳協会によると、いずれも大会記録を更新。2冠は男子としては日本初の快挙だという。
生後約8カ月から、地元スイミングクラブの講師を務める母親とプールで泳ぎ始めた。1歳の時、髄膜炎で左耳の聴力を失って高度難聴3級となり、ふだんは補聴器が欠かせない。大好きな水泳は続け、唐津商でも水泳部に所属する。
健常者に交じって競う中で苦労したのが、スタートだった。プールでは補聴器を外すため、号砲への反応が遅れる。隣の選手の動きに反応して速く飛び出すよう工夫。出遅れを縮めようと毎日最大で約7千メートルを泳いで、スタミナをつけた。
その力に注目した協会が今年1月、世界選手権出場を打診。「健常者と競ってきた誇り」と葛藤しながらも国際大会初参加を決めた。6月の県高校総体では背泳ぎの50、100、200メートルの3種目で優勝した。
世界選手権は4年に1回開かれ、国際大会の最高峰とされる。今回は28カ国から代表選手が150人以上出場した。聴覚障害に配慮してスタート合図はランプで表示するため、スタートでのハンディはない。
金持さんは身長166センチ。初めての世界の舞台で、190センチを超える米国やロシアなどの大柄な選手に圧倒された。「見上げるくらいでかい選手と泳いで緊張した。健常者よりも速い選手がたくさんいた」。20センチ以上ある身長差を埋めるため、泳ぎ込みで培ったスタミナで勝負した。
100メートルの決勝は中盤まで追う展開。後半に追い上げ、ラスト5メートルで先頭の選手をかわし、1分00秒03で逆転。200メートル決勝は前半から飛ばし、持ち前の持久力で後半も耐えて、2位以下に3秒以上差をつける2分08秒94で優勝した。