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大局を読む柔軟思考 米・欧・韓の元首脳・高官に聞く日本の総合戦略を考えるにあたって、いま最も大切な視点は何だろうか。私たちはまず、米・欧・アジアで政策決定に携わった元首脳・高官を中心に、激動する世界への展望を聞いた。
世界が今も米国を中軸に動いていることは疑いない。だが、冷戦期には自由主義世界を率いた確固たる指導者が「対テロ戦争」を境に「単独行動主義」に傾いたことへの懸念が広がっている。 韓国の金大中前大統領は「米国が世界の主導権をとるのは自然だ」としながらも、同時に「世界から信頼される道徳性、指導性が必要だ」と説く。 フランスのベドリヌ元外相は、イラク戦争で米国が「あらゆる情報や分析に背を向け、戦争一筋に凝り固まってゆく過ちを犯した」と厳しく批判する。そのうえで「時には米国の覇権にあらがう必要がある」という。 当の米国にもじわり自省が生じている。「米国は9・11以降、伝統的に輸出してきたものを変えてきた。希望と楽観主義を世界に輸出してきたが、今は怒りと恐怖を送り出している」。そういうのはアーミテージ前米国務副長官だ。 では中国・インドの急成長でアジアはどう変わるか。金氏は「アジアで最も重要なのは韓国、日本、中国の協力」として、ゆくゆくは「アジアのEU」を目指せという。だがそのために必要なのは相互の信頼だ。日本の若い世代は「過去に日本が何をしたかを知らないから反省できない。だから本当の謝罪がない」として「反日」の高まりを憂慮する。 軍人出身のアーミテージ氏は「中国が台湾危機に備えて調達している軍事力は日本に対しても使える」と警戒する一方、「米中は必ずしも衝突コースにはない」という。 ベドリヌ氏は中国の将来について「中国内部で政策修正のメカニズムは働いている」と語り、比較的楽観的だ。 三者三論。見方はそれぞれ違うが、共通するのはしなやかに大局を判断する戦略思考だ。金氏は戦略思考の奥義として、「書生的問題意識と、商人的現実感覚が大切」と語った。「原則を固守するが、方法は柔軟に」ともいう。「新戦略」を考えるにあたって、私たちが学びたい要諦(ようてい)だ。 (東京本社編集局長、ゼネラルエディター 外岡秀俊)
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