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硬軟合わせ「スマートパワー」に
――9・11で脅威はどう変わったのでしょうか。 「最も重要なことは非国家主体の台頭だ。今日の技術を使うと、以前は国家しかできなかったような甚大な被害を及ぼすことができるようになった。イスラム過激派のテロリストにどう対応するかがもっとも深刻な問題だ」 「それからややレベルが下がるが、『中国の台頭』といかに立ち向かうかが、もう一つの問題だ。この二つが、今後10年から20年の間、戦略環境に存在する大きな課題だと思う」 ――米国のソフトパワーはアルカイダには通用しませんでした。 「その通りだ。ソフトパワーとは、相手を魅了することでこちらの思うような行動を取らせる力だ。ビンラディンを魅了することはできない。彼にはハードパワーを使うしかない」 「しかし、ビンラディンがイスラム社会の多数を占める穏健派から、アルカイダのメンバーをリクルートするのをどう阻止するかを考えれば、ソフトパワーは意味を持ってくる。穏健派にとって米国が魅力的かどうかだ。テロとの戦いに勝つには、ハードとソフトの両方を活用しなければならない」 ――米国が目指す世界秩序は。 「軍事面では、今後も10年か20年は、米国を頂点にした一極構造が続く。一方、国際経済ではすでに、欧州、日本、中国が米国との『力の均衡』を形作っている。米国は、ローマ帝国以来、世界最強の軍事力を手にしたのに、一国だけでは自国民の安全を確保できないという矛盾を抱えている。今後米国は、こうした卓越した国力を、多国間の枠組み作りに使わなければならないだろう」 ――日本が直面する課題は。 「米国と同じ二つに加えて、日本が再び軍国主義国家になるという恐怖を周辺諸国に感じさせることなしに、世界政治でより大きな役割を果たす方法を見いだすことだ。私は日本が国連安全保障理事会の常任理事国になったら良いと思うが、中国が反対の立場をとっているので実現しそうにない。日本は、ポップカルチャーの分野で強さを発揮している。それをもとに、もっとソフトパワーを発信することができると思う」 ――政治・安保面で役割を拡大するには、ある程度、ハードパワーが必要です。 「国連平和維持活動(PKO)で日本が果たす役割は、まさにハードパワーだ。しかし、多国間の枠組みで行われることで、正当性を発信している。ハードパワーとソフトパワーの統合だ。成功の秘密は、その二つをいかに統合するかを理解した『スマートパワー』(賢明な国家)になることだ」 ――日米同盟の今後は。 「非常に重要であり続ける。中国の台頭にどう対応するかという問題の根幹に触れるからだ。中国を孤立させるつもりはないが、日米を分断しようとしても得るものはないと分からせる必要もある」 ――米国との同盟以外に、日本に戦略的選択肢は。 「一つは中立を宣言して国連にだけ頼るという道。もう一つは、中国の支配を受け入れ、衛星国家になることだ。しかし実際問題として、日本にとっては米国カードを使うことがもっとも得るものが大きい。日米戦略関係は両国の利益に資するので当分の間は安定的に継続すると思う」 (聞き手=アメリカ総局長・加藤洋一、写真=小村田義之) [戻る]
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