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国際貢献には「全カード」必要
――アラブ世界から見た日本の外交イメージは。 「歴史的に(イスラエルの占領に抵抗する)アラブの大義を支持してきたこともあり、非常に好意的なイメージだ。歴史的な経緯もあり、これまで域外の危機に対しては『受け身』だったが、より積極的に政治的な役割を担いつつある国という印象もある」 ――日本はイスラエルとの関係も強化しています。 「必ずしもアラブとの関係を犠牲にするものではないという考えには同意する。しかし、善悪や政治的妥協を犠牲にして進めるべきではない。良好な関係と引き換えに占領の終結を説得するならいい」 ――米国を支持する小泉外交をどうみていますか。 「一極支配の世界で積極性を発揮するには、超大国(米国)と協力しがちだ。我々も米国とは強固な関係にあり、それを批判するつもりはない。日本の外交政策は多くの点で米国の政策を支持しているが同一ではない」 ――エジプトはイラク戦争を支持しませんでした。 「侵略行為や占領への対処以外では、国連安全保障理事会の決議がない限り武力行使は認められないというのが我が国の原則だ。今回、サダム・フセイン(大統領)はどこの国も攻撃していない。中規模国家である我が国は、自分より強い国からの攻撃に対する安全保障を安保理に依存している。安全保障の傘を対米関係に依存している日本とは事情が異なる」 ――フランスやドイツと異なりエジプトの対米関係は悪化しませんでしたね。 「意見は異なるが、何をすべきか、すべきでないか助言してきた。友人だからといって常にすべてについて同意しなければならないわけではない。一方で米艦船のスエズ運河通行や米軍機の領空飛行は止めなかった。米国は同意しなかったが、立場を理解し、受け入れたと思う」 ――日本は武力を持つ「ふつうの国」を目指すべきでしょうか。 「現実に日本が国際的に果たす役割は極めて重要だ。平和維持活動への派遣、紛争地域で働く文民の派遣などの能力は、国際的なプレーヤーになるために必要だ。『正規のプレーヤー』になりたいなら『(トランプの)全カード』を持つ必要がある」 ――米国が求める中東民主化をどう見ていますか。 「民主主義というのは『人民の人民による政府』であって、自国民がプロセスを決めなければならない。『拡大中東地域』とはだれが定義するのか。半世紀ほど前に英国が定義した中東を今、ほかの人が決め直そうとしているのではないかという懸念がある」 ――宗教に寛容な日本社会については。 「茶髪の子が着物を着て神社にお参りする。伝統を維持しながら、他の文化も尊重していることの表れ、と受け止めた。日本やエジプト、スペインのように他者に対して寛容で歴史文化に深い敬意を持つ国は文明間の対話で重要な役割を担えるはずだ」 ――日本の総合戦略はどうあるべきでしょう。 「将来に向けた日本の課題は、異なる地域の世界に関与することに対して、自国民からの支持をどう取り付けるかということではないか。国際貢献は誇るべきだが、犠牲も伴う。自国民に『グローバルプレーヤー』とは何かをどう説明するか。それは安保理の常任理事国になることでもないし、米国に賛成、反対することでもないはずだ」 (聞き手・写真=外報部次長・石合力) [戻る]
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