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信頼性ある抑止力、地域で示せ

マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長
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米国で有数の知日派。05年12月までホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長。クリントン政権下でも国防総省の日本問題コンサルタント。日本の国会議員スタッフの経験も。ジョージタウン大准教授を兼任。44歳。

 ――今、世界の安全保障環境に何が起きているのでしょう。

 「国際システムの安定を損ねる変数は二つある。一つはイスラム世界の『心と知性』をつかむ戦いだ。大量破壊兵器を手にした反西欧イスラム過激派は最大の脅威になるからだ。もう一つは中国の増大する影響力だ」

 ――イスラム過激派と共存する方法はないですか。

 「ごく少数だが、アルカイダやジェマー・イスラミア(JI)といった最も過激なグループは、近代化の破壊と中世社会への回帰を目標としている。抑止はできないし、思いとどまらせることもできない。捕まえて撲滅するしかない」

 ――イラクでは新政府づくりに時間がかかっています。

 「イラクの問題は、社会基盤に対してアルカイダや武装勢力が攻撃し、国内でグループごとの武力対立が起きていることだ。これは米国や日本が民主主義を築く際には直面しなかったことだ。我々は辛抱強く取り組まなければならない」

 ――中国が提起する問題は。

 「一つは軍事力の増強。台湾海峡対岸に500基を超えるミサイルを配備し、潜水艦や航空勢力を日本のいわば裏庭に持ち込んでいる。『偶発的な紛争』の可能性を生み出している。二つ目は、エネルギーへの渇望から、重商主義的な政策に走り、スーダン、ビルマ(ミャンマー)といった好ましくない政権を支援していることだ」

 「三つ目は、そういう他国の内政には干渉しない『アジア・コミュニティー』の考えで、中国は自らを米国から守れると思っていることだ。米国は問題を抱える国に対しては、透明性の向上、知的所有権の保護や法の秩序の維持などを求めて積極的に介入する。地域でもそれが主流になりつつある」

 ――米国のアジア太平洋に対する地域戦略は。

 「常に他国よりも優位であり、我々が信奉する価値を広めたい。いわば、米国優位のもとにある多国間主義だ」

 ――結局、中国と衝突するのでは。

 「そんなことはない。封じ込めを考えているわけではないからだ。米国の対中政策の柱は3本。まず武力行使を思いとどまらせ抑止しなければならない。次により大きな役割を果たしてほしいと伝え、実際の政策で示すことだ。最後に、中国の選択肢をこちらで作ることだ」

 ――日本の戦略はどうあるべきですか。

 「まず、信頼性のある抑止力を持つことだ。中国や北朝鮮が日本を見たときに、突き通すことはできないと思わせることだ。日米同盟の用途が広く、相互の信頼が固いことを示す必要もある」

 「2番目は、理念に基づいた外交の展開だ。法の秩序や透明性、市民社会の実現を単に他国に要求するだけでなく、支援する必要がある。ただし、日本には経験がないうえ歴史問題を抱えているという障害がある」

 「3番目には、日本がステークホルダー(利害共有者)として、世界銀行や国際通貨基金(IMF)といった国際機関を支え、より安定して公正で、持続可能な開発のできる国際社会を作り上げることだ。これが一層重要になってきている。こうした政策を実施することで、日本は自らを取り巻く環境を自分たちで形成できるようになる」

 (聞き手=アメリカ総局長・加藤洋一、写真=小村田義之) [戻る]

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