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「ピークオイル説」本当?

 近い将来、世界の石油生産はピークに達して、その後は下り坂に転じる。近年、そんな「ピークオイル説」が浮上している。採掘可能な原油埋蔵量が2030年代に、場合によってはもっと早い時期に頭打ちになるという予測だ。賛否両論があって結論は見えないが、最近の原油高騰の一因となっている。

 エネルギー業界専門の投資銀行のマシュー・シモンズ会長は「ピークオイル説」を支持する立場だ。「世界最大の石油輸出国サウジアラビアの生産はピークに近づいており、そう遠くない将来に減少に転じる可能性がある」とみる。

 そもそも埋蔵量の計算は極めて難しい。当て推量を伴うため、60%から80%の幅で予測がはずれることも少なくない。「北海油田など、当初の推計より埋蔵量が少なかった例がいくつもある」という。

 こうしたことから、シモンズ会長は「サウジ側の説明をみる限り、現在の産油ペースが140年間は続くことになる。だが、主要7油田に生産が集中し、うち3油田は50年以上にわたって酷使されている模様で、生産性の低下が懸念される」と指摘する。

 サウジが仮にピークを迎えて先細りが始まれば心理的な影響も大きく、石油価格はかなり高騰する危険性がある。「原油相場は世界の埋蔵量(約1兆1500億バレル)に支えられているが、それが誤っているとの認識が広まれば、そのうち1バレル=200ドルの大台に乗ってもおかしくはない」

 こうした説への懐疑派の代表格は、ケンブリッジ・エネルギーリサーチ・アソシエーツ(CERA)のダニエル・ヤーギン会長だ。「人々はエネルギーが使い尽くされることを恐れているが、CERAによる世界的なフィールド調査では石油が近い将来、枯渇するとは考えられない。世界の石油生産量は今後10年で20〜25%伸びる」と強調する。

 供給量の限界は、資源の枯渇というより、採掘や精製への投資が十分ではないという側面がある。ヤーギン会長は、石油の安定供給のためには、「長期的な投資による開発と技術革新、健全な市場の維持が重要だ」と指摘する。

 2030年以前には、世界はピークオイルには直面しないだろう。国際エネルギー機関(IEA)は様々な情報を分析したうえでそう判断しているが、今後とも賛否両論のぶつかり合いが原油価格に影響を与える場面がありそうだ。(ワシントン・西崎香、野嶋剛)

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