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消費抑制、日本の役割 自然エネルギー導入拡大を太陽や風力、植物を使ったバイオマス燃料など、自然エネルギーはどの国にもある資源だ。省エネルギーも、石油や天然ガスの消費を抑え、需給の逼迫(ひっぱく)をやわらげる点で貴重な資源と言えるだろう。日本はその技術力を生かして、こうした資源をアジアに、世界に広めていく役割を担っていきたい。(編集委員・竹内敬二、社会部・井上道夫)
世界の太陽光発電パネルの半分は、日本企業がつくっている。太陽光発電の導入量世界一も日本の指定席だった。しかし、欧州の調査団体によると、昨年末、ドイツに抜かれた。
「牛は搾乳など1日に2回の世話がいるが、これは何もしなくても稼いでくれる」と、ブールスマさん(33)は屋根を見る。オランダ国境に近いドイツの農村地帯。酪農を営むブールスマさんは2年前、屋根に普通の住宅の10倍、約30キロワットの太陽光発電パネルを設置した。 電力会社に1キロワット時当たり0.54ユーロ(75円)で売れる。昨年の発電量は2万8000キロワット時で、売り上げは約210万円だった。約2000万円の設置費用は10年で回収できる。 「いま乳牛が45頭、子牛が50頭いる。売電と酪農の稼ぎは同じくらいかな。牛乳の値段は動くけど、売電は固定収入が保証されるので生活が安定する」 ドイツでは法律で、自然エネルギーでつくる電気の全量買い取りを、電力会社に義務づけている。太陽光や風力の発電事業を促すために買い取り価格を高めに設定し、そのコストは電気料金全体に薄く上乗せしている。太陽光からの買い取り価格は2年前に引き上げられた。 ブールスマさんの家の工事をした設置会社「太陽エネルギーセンター」のシュルツさんは、「多くの人が『これなら投資が早く回収できる』と気軽に考え始め、2年間で太陽光設備が急伸した」と語る。 ■技術革新──積極投資で自然エネ発電に競争力を 自然(再生可能)エネルギー導入の主な目的は、温暖化を防ぐために二酸化炭素排出を減らすこと。そして、エネルギー安全保障のために自給率を高めることだ。欧州連合(EU、加盟25カ国)、米国、日本は表のような政策を導入している。
最も積極的なのがEUで、「2010年に加盟国平均で電力の21%を自然エネルギーで」との目標を持つ。 地球温暖化防止に冷ややかなブッシュ米政権は数値目標を敬遠している。EUよりは見劣りする米国だが、「侮ってはならない」というのは、風力発電装置で世界6位のシェアをもつ「リパワー社」(ドイツ・ハンブルク)のファーレンホルト社長だ。「米国はエネルギー安全保障の観点から技術開発を進めており、投資額は巨大だ」。現に連邦政府とは別に、20以上の州が電力量の一定割合を自然エネルギーで供給するよう義務づけている。 日本には電力会社に、供給電力の一定割合を自然エネルギーでまかなうことを義務づけるRPS法(新エネ利用特別措置法)がある。だがその義務量は、大型水力を除いて、2010年で1.35%。簡単に達成できる。それどころか、低い義務量が自然エネルギー開発を妨げているのが現実だ。義務量を達成すれば、電力会社が「もう買わない」という状況が風力で出ている。 今後も原発増設計画がある日本では、自給率は原発で高めようとの意識が根強い。「気象に左右される不安定な自然エネルギーは欲しくない」というのが、電力会社の本音だ。 欧米はサトウキビやトウモロコシからつくる自動車用のバイオ燃料の導入も急いでいる。日本では材料の植物の生産量が低いこともあり、遅れている。 EUは、自然エネルギー導入量の国際的な目標値の設定を提案してきた。世界銀行は、途上国の自然エネルギー開発への融資額を毎年20%ずつ増やすとしている。 新たな動きが進む中で、日本も戦略を立て直すべきだ。
自然エネルギーのコストは、図のように石油や天然ガスによる従来の発電に比べるとかなり高い。だが、原油が高騰していることに加え、技術革新で自然エネルギー発電のコストも下がってきている。火力発電との差は一段と縮まっており、競争力を強める好機を迎えている。 「自然エネルギーは化石燃料や原子力にとって代われるわけではないが、価格が見合えばかなり伸ばせる可能性はある。高い石油を想定して、積極的に自然エネルギー開発に投資し、導入拡大をはかるべきではないか」と、エネルギー問題に詳しい経済同友会幹事の高坂節三氏は語る。 まず、日本の自然エネルギーの導入目標を拡大し、必要な投資、技術開発を思い切って促進する。蓄積したノウハウを開発途上国、とりわけエネルギー需要が急速に拡大する中国やインドなどのアジア諸国に広げていく。それを日本のエネルギー戦略の柱のひとつとすべきだ。 ■省エネ大国──技術輸出で地球規模の貢献を 日本は世界に冠たる省エネ先進国である。
グラフのように、日本はロシアの19分の1、中国の8分の1、韓国の3分の1のエネルギー消費で同じ国内総生産を生み出すことができる。1973年の石油ショック以来、30年余りで37%の省エネを達成した結果だ。「省エネ分は、自分でエネルギーをまかなったのと同じようなもの。省エネは日本の強力な資源だ」と、経済産業研究所の田辺靖雄副所長は語る。 経産省の新・国家エネルギー戦略は2030年までに少なくとも、さらに30%の省エネを目標に掲げている。30%で立ち止まらず、できる限り省エネを進めていきたい。 省エネを加速するには新たな技術開発への投資拡大が求められる。だが、既存の技術の活用、ちょっとした努力でも効果を期待できる。 日本のメーカーは通常の電球の5分の1ほどの電力消費ですむ省エネ電球を開発、販売している。値段は通常の電球の10倍ほどするが、電気代が大幅に安くなるため、1日に6時間ほど使うと半年余りで元はとれる。こうした電球は一例で、省エネ型の車、家電、住宅、IT機器などの普及をはかれば、どの国でも節約規模は大きくなる。 環境省はアジア各国に省エネを促し、エネルギー自給率を高める協力計画を検討している。資源エネルギー庁は、省エネ技術をアジア諸国に移転する構想を進めている。 アジアで省エネを進めることは世界のエネルギー需給を楽にする効果が大きいと考えられるが、省エネ度の低いロシアや米国への普及も大きな課題だろう。省エネという資源を輸出し、地球規模の環境エネルギー対策に貢献する戦略こそ、「Jブランド」(日本の強み)である。
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