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終わりに──「自国が良ければ」通らず

 波乱含みの中東情勢、石油開発の権益確保に走る中国、資源大国として影響力を強めるロシア。一方で、化石燃料消費で忍び寄る地球温暖化の影――エネルギーをめぐる国際秩序は不安定な時代に入っている。

 日本は今、何ができるのか。三菱商事の増田幸央副社長(資源・エネルギー担当)は「さらなる省エネと備蓄。日本がこれまで実績を上げ、自らの努力でできる足元の安全保障にまず取り組むべきだ」と語る。

 確かに、自力でできる対策をさらに進めるべきだという視点は、その通りである。だが、この他にも、中長期的に日本が向き合わなければならない問題は多い。

 第一に、日本の需給を満たす戦略さえ整えればいいという発想から抜け出すことだ。いくら自分の都合に合うように需給計画、油田の自主開発計画を立てても、大口の消費国が一気に原油を買いに動けば国際市場が混乱し、価格も上昇して、日本の目算は崩れる。自分だけがという「一国安全主義」はとても通じない。

 日頃から地球規模に視野を広げ、省エネルギー、自然エネルギーも含めて国際市場の需給逼迫を避けるあの手この手を提案し、その実行を国際社会に働きかけていくことが大切だ。それが結局、日本を含めた多くの資源小国の安全保障に役立つことになる。日本の交渉カードは資金力、そして技術力である。

 第二に、アジア地域での日本の役割を明確にすることだ。中国に刺激されて、同じように資源獲得競争に奔走するようでは、アジアの域内で連携してエネルギー危機を回避するような枠組みはつくれない。

 石油備蓄体制の整備、緊急時の石油の融通ネットワーク、ロシアからの天然ガス・パイプラインの建設をめぐる構想など、地理的に近い諸国が協調した場合の利益は大きい。

 日本は、二国間の問題や経済的な競争はあるにせよ、地域の共益とは何かを考え、具体的な協調政策づくりを支えていくべきだろう。  第三は、エネルギー秩序を乱す戦争やテロを防ぐ外交をどう展開するかだ。備蓄や輸入の長期契約などで、危機が起きた場合に備えることは大事だが、危機を防ぐ外交がないと、エネルギー安全保障としては画竜(がりょう)点睛(てんせい)を欠く。

 資源の海上交通路(シーレーン)の安全も重要テーマで、外交だけでなく、日米安保、自衛隊の役割も論議の対象となる。「新戦略を求めて」シリーズ後半で掲載予定の特集で考えることにしたい。

 (編集委員・安井孝之、論説委員・吉田文彦)

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