現在位置:
  1. asahi.com
  2. お中元特集2011
  3. 世界の贈り物
  4. 記事
お中元特集2011

【トルコ】断食の後のお楽しみ

2011年6月20日

写真:砂糖祭前、スーパーの特設お菓子売り場拡大砂糖祭前、スーパーの特設お菓子売り場

写真:砂糖祭前、問屋街で買い物をする人たち拡大砂糖祭前、問屋街で買い物をする人たち

写真:お菓子を集める子供たち拡大お菓子を集める子供たち

写真:お客様にはまずコロンヤ拡大お客様にはまずコロンヤ

 毎年行われるラマザン(断食)の1カ月が過ぎると砂糖祭りがやってくる。トルコは政教分離した国家なので、信教の自由が認められている上、国民の大半を占めるイスラム教徒であっても断食を行う人と行わない人がいる。

 しかし、断食を行わない人にとっても重要なのが砂糖祭り(シェケル・バイラム)だ。イスラム暦にのっとって行われるので毎年10日ずつ前の年から繰り上がっていくこの国民の休日は連続3日間で、年によっては土日も重なり大型連休となることもある。2011年は8月30、31日及び9月1日である。

 この砂糖祭りは、ラマザン・バイラムという正式名があり、断食の終わった次の日から休みに入るのだが、トルコ人にとってはこの3日間が新年の始まり、つまりお正月なのだ。もちろんトルコも共和国になってからは、正式には世界で最も多く使用されている太陽暦を採用しているが、人々の心の中では、ラマザン・バイラムがいまだにお正月なのである。

 お正月だけあって、子供たちへのお年玉や小さな子供にはおもちゃのプレゼントなどのイベントがある。また、砂糖祭りと呼ばれるのは、断食明けに人々がお互いに甘いものをふるまいあうという慣習からきているので、子供たちは心待ちにしている。

 スーパーには砂糖祭りの1週間ほど前からチョコレートやキャンディーの大売り出しが始まり、特設のお菓子売り場は色とりどりのお菓子の箱で埋まる。大人は家族や親類などの訪問に備えてお菓子を買い込み、子供たちへのプレゼントを買いに問屋街に走る。キリスト教のハロウイーンのように子供たちが家々を回ってお菓子をふるまってもらうという習慣は、近年、イスタンブールなどの大都市では、すたれてきている。家族で訪問しあい、ごちそうやお菓子をふるまわれるというのが一般的だ。

 しかし、トルコのアナトリア地方やエーゲ海、地中海沿いなどの地方の村々では、子供たちへお菓子が配られる習慣が残っている。大人たちは、村の広場に箱いっぱいのお菓子を持ち込み、子供たちは列を作って一人一人からお菓子を分けてもらう。

 自分の背丈ほどの袋いっぱいのお菓子を抱えて満足そうな子供たちもいて心温まる風景だ。家々への訪問で最初にふるまわれるのは、コロンヤと決まっている。コロンヤとはアルコールとオーデコロンの中間のようなもので、レモンやラベンダーのいい香りが両手いっぱいに振り掛けられ、訪れた人を幸せな気分に包んでくれる。

筆者プロフィール

大矢ちはる(おおや・ちはる)

イスタンブール在住。トルコについて書かれたガイドブックは多数あれど、長い在住歴を活かし、トルコ人家族の絆の強さ、世界三大料理のひとつであるトルコ料理への執着、そして自然への愛情などに重点を置いたリポートが得意。現在は日本企業で通訳のほか、地元の防災関係のNGOでお手伝い中。趣味は週末の小旅行、写真撮影。知られざるトルコの発見に邁進中。海外書き人クラブ会員。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介